ディーゼル車の撤退からどの方式の電気自動車へ?

ジュネーブで行なわれているモーターショーにおいて、トヨタが今までラインナップとしていたディーゼル車を出さないことがニュースになっています。過去には「クリーンディーゼル」という触れ込みで二酸化炭素の排出を減らすための方法と一つとしてヨーロッパのメーカーがこぞって開発をしていて、個人的には興味があったのですが、やはりフォルクスワーゲンを始めとするデータ改ざんの影響と、世界の自動車市場が一斉に電気自動車の開発に動いているという状況もあって、トヨタもヨーロッパでディーゼルを新田に売ることを放棄したということなのでしょう。

ただ、先日紹介した「セレナe-power」が一部で盛り上がっているように、発電機を回すのにガソリンを燃料とするエンジンを使ってもいいのではないかという感じが日本ではあります。先行するハイブリッド車もある中で、あくまで完全な電気エネルギーをチャージして走る電気自動車にこだわるのか、それともインフラとしては全世界に普及しているガソリンを給油することで、あくまで完全な電気自動車ではないものの自家発電のできる電気自動車を作っていくのかというところで、国内メーカーと国外メーカーには温度差があります。

お隣の中国では早くも電気自動車の本格的な普及に向けてかじを切っています。となると、問題になるのがどこで充電をするかということなのですが、昨年の話ではありますが、中国政府は2020年までに480万の充電設備や充電ステーションを設置する予定だとしています。ちなみに、設備の設置には日本円にして2兆円以上の費用がかかると言われています。ただ日本と違う点というのは、中国の政府というのは日本と違って共産党の権力が唯一であり、さらに国家主席の在位期間も今までの任期より伸ばす方向だと言われているように、日本以上にお上のご意向があればその通りに事業を進めなくてはならないため、国民からの不満が出たとしても関係なく電気自動車のための政策は進められていくと思われます。

ただし、テレビのバラエティ番組「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」に出てくる電動バイクでも空になった充電池に満充電されるまでおよそ2時間かかるというタイムロスが出てきてしまいます。ガソリンを売るスタンドでも品不足となれば行列が出ることがあるのに、中国の人口からすればまだまだ少ない充電スタンドに多くの電気自動車が押し寄せたらどんな事になってしまうのか、日本人は長い行列にも文句を言わないで並び続けられますが、中国の人達は下手をしたら1日の大部分を充電待ちにするような事に耐えられるでしょうか。

電気自動車を推進する立場の人からすると、走行に使う量は少なくなるとは言え、ガソリンを使えば二酸化炭素が放出されるので不完全ではないかと考える人もいるかも知れません。ただ、ガソリンがだめならバイオエタノールや水素という風に発電機を回すためのエネルギーを変える事を考えるという手もあります。今回出るセレナe-powerは発電をするためのガソリンではあるものの、走行距離とガソリン消費の兼ね合いで26km/Lを越えるだけの燃費をあげるといいますので、今までよりガソリンの消費が半分くらいで済むということも考えると、大陸を横断する電気自動車ということを考えた場合、自然と日本で市販されているガソリンで動く発電機で電気を作って走る電気自動車の方が劇的に二酸化炭素排出を減らすための車としては便利に使えるように思うのですが。

ただ、ここまでは現実を見ながらそれに対応する対策を考える中で出てきたアイデアであることも確かです。もし電気だけを使って走る電気自動車を開発する中で、本当に充電設備や充電ステーションだけで走行に関する電気をまかなおうと考える中国方式がその考えを実践に移した場合、最初は当然現場は相当混乱すると思いますが、何らかの秩序が住民の中で作られたり、車道の下に電気を供給するレーンを作ったりするなど、日常生活の中で無理をすることなく電気自動車を利用できるモデルケースが作られたりした場合は、世の中は一気に日本製や欧米製でない中国製の電気自動車になびく可能性もあります。日本は悪くない国だと個人的には思いますが、日本では決してできない多くの人を巻き込んだ社会実験を簡単に行なうことができてしまう今の中国の政治の仕組みというのが、こと電気自動車の場合にはうまくはまってしまう可能性もあるのではないかと思ったりもします。

個人的にはあくまで自力でどこまでも走行することのできる日本式の電気自動車が進化して行って欲しいと思うのですが、最初に紹介したクリーンディーゼル車の衰退のように、何がきっかけで新技術がだめになるかもわからない中、日本の自動車メーカーはこれからが正念場だと本気で思います。中国でうまく日本の電気自動車が普及しない場合も考えて、もっと広く世界に受け入れられるハイブリッド車や電気自動車を提案していくことが日本の自動車産業を守ることにもなると信じています。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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