自動運転が実用化されたら運転席で何ができるか

まだ一般ドライバーにまでは自動運転車が普及することはないとは思いますが、日本メーカーの目標では2020年くらいをメドに高速道路上で自動運転ができる「レベル3」くらいの車を市販するということがあるということで、あながちそんな未来の話でもないと言えるでしょう。

というのも、公道を走る車はそれほど多くなくても、いくらか走っているというのなら自分の車で走っているような時に遭遇する可能性はあるわけで、さらに言うと事故の相手になる可能性もあるわけです。その時にドライブレコーダーで相手車の様子を録画できたとして、もし相手のドライバーがスマホで何かを調べている瞬間を捉えてしまった場合、普通の車を運転しながらそんなことをしていたのでは相手の過失として一定の責任が生じると思われます。ただこの時、相手の車が事故をした状況で完全に自動運転により動いていたらどうなのかというのが、今回紹介したい話なのです。

警察庁の有識者が参加した調査検討委員会が4月17日に出した自動運転の段階的実用化に向けた法的課題について出した報告書があるのですが、そこで自動運転中に運転者は何をしてはいけないのか、また何をするのは大丈夫なのかの議論があったことが報告されているのです。

その報告書で出ている見解としては、「運転にすぐに戻れる姿勢であるべき」ということでした。そういう意味からすると、たとえ運転席に座っていたとしても席上で寝てしまったらアウトということになりそうです。

ただ、普通の運転では行政処分の対象になりかねない「テレビ視聴」「スマホやガラケーの通話およびメールの送受信やウェブ閲覧」「前を見ながらの食事」「雑誌や書籍、新聞(この場合は視界を妨げるように広げることはグレーになりそう)の閲覧」くらいまでは今の時点では自動運転中にやっても大丈夫だくらいの話になっているそうですが、ただこれはかなり自動運転車が普及してからの話ではないかと思うところもあります。

というのも、事故は起こさなくても車の運転者が「テレビをガン見している」「運転中に電話したりスマホいじり」「運転しながら食事」「運転しながら読書」なんていう行動をしているのを警察官が見とがめたら間違いなく停止させて違反切符を切られる流れになるでしょう。その場合、警察官は自動運転車かそうでない車であることをどこで見分け、疑わしい行動を取った(自動運転中)場合は停まらなければならないのでしょうか。それとも警察官の方で自動運転車を把握し、その車については停止させないような事ができるのでしょうか。

また、自動運転車の運転席に座る立場でも考えることはありそうです。というのも、自動運転のため単に運転席に座っているだけで前を見るだけということになると、やってはいけない居眠り状態になってしまうかも知れません。自分で運転している場合にはすぐに休憩を取るケースでも、居眠りをしながらかなり長い距離を走ってしまう可能性も出てきます。果たしてそういう場合は何かのペナルティが事故を起こしていなくても与えられるのでしょうか。こんなことも考えてしまうほど、自動運転で運転することへの労力が極端に少なくなったらなったで考えておかなければならない想定はかなりあるということがわかります。

個人的には高速道路での前車との距離を一定に保って走り続けることのできるオートクルーズは便利だと思いますが、少しの車間距離を見付けて割り込んでくる車があるたびに減速と加速を繰り返すようになります。自動運転でなければ普通の運転の延長線上にあって車を操作するだけですが、自動運転の場合は乗っている人がもしかしたらストレスに感じることもあるかも知れません。このように、単に自動運転車が開発されるということではあるわけですが、車が動くことに関する様々な事が起きる想定というのはここで考えているだけでなく、数限りなくあるわけですから、今後の法整備も大変だろうと思います。

今回の警察庁をはじめとして関係各所での地道な努力が今後の新たな自動車文化を作るということもあります。本当に議論をするのは大変だと思いますが、現場が極力混乱しないように、しっかりと議論を重ねていただき、スムーズに移行できるようであればいいと思います。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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