自動運転車との事故は恐ろしい?

昨日のニュースで、東京海上日動が販売する自動車保険において、自動運転機能が付いている車において、最終的に人間が制御するレベルの自動運転機能の不具合における事故が疑われる場合においては保険料支払いの対象となる商品を来年4月から発売すると発表しました。
何を書いているかわからないという方もいるかと思いますが(^^;)、これは自動車保険を掛けている人だけでなく、常に自動車事故に遭う可能性のある歩行者や自転車を日常的に利用している人についても気に掛けておいた方がいいと思います。

自動車保険の仕組みとして、基本的には運転者が過失による事故を起こした場合、被害者に対する賠償義務が生じ、その責任を自動車保険を使ってお金で弁償します。しかし、もし車自体が運転者の意志に反して動かなかったり暴走したりした場合は、運転者に責任があると言われても困ってしまいます。

今までは運転のほとんどを人間が行なっていたので事故は運転をしている人間の責任に直結しましたが、今多く出回っている「自動運転機能」が付いた車においては、それが運転者本人の責任なのか、自動運転の機能自体に不具合があっての事故なのか判断が付かないケースが起こり得ます。運転者側としては、明らかに自分では回避できない、車の機能上の制御不能になったと思ったら、たとえその事故による被害者がいたとしても、「自分に責任はない。責任があるのは車を作ったメーカーである」と主張し、事故相手との話し合いのテーブルに乗らない状況も考えられます。その場合に、今までは保険会社も運転者がそう主張する以上、車に掛かっている自動車保険の使用はできないと突っぱねるため、被害者は直接車のメーカーに訴えて損害賠償を請求するしかない状況が起こる可能性があります。

これは、自動運転機能の不具合が疑われる事故の被害者になってしまった場合に、大変な労力がかかることになるかも知れないということです。そうなったら少なくとも弁護士を雇わなければなりませんし、事故の解決までどの程度のお金がかかるかもわかりません。というのも、大きな財力を持っている大手自動車メーカー相手に訴訟を起こして勝てるかどうかは全くわかりませんし、そうなると単にお金の問題だけではなく、心の問題にもなってしまうかも知れません。さらに、最悪のケースではかなりひどい怪我があっても自賠責保険の範囲でしか補償されず、さらに訴訟費用を捻出しないとまともな補償を受けられる機会すらのがしてしまいかねません。現在の自動車保険にも弁護士費用を出してくれる特約はありますが、実費を出してくれるのではなく、支払い金額は上限が決まっているので、保険に入っている人でもその額を越えてお金がかかるとなった時にどうすればいのか、心配の種は尽きません。

今回のニュースはそうした悲劇を防ぐために、自動運転機能のうち全く人が介在しない自動運転レベルを除き、最後に人の判断が入る余地のある自動運転機能によって事故が起こったと思われる場合でも保険会社は交渉の仲介に立ち、保険金の支払いをすることができるように保険の内容を変えた商品が出ることを紹介したものです。その後、メーカーが大きなリコールを届け出て、当該事故の原因がメーカーにあるとわかった時は、保険会社が被害者にかわって後日自動車メーカーに賠償請求をし、被害者に支払った保険金を回収することになるわけです。その際には被害者が特別何かをする必要はありません。

また、運転者側においても、事故の原因が自動車メーカー側にあることがわかれば、たとえ保険金を支払っても翌年以降の保険料が上がらないような仕組みも合わせて作られるとのことです。

こうしたニュースがあって私も初めてわかったのですが、この文章を書いている2016年からニュースにある新しい自動車保険が発売されるまでの2017年4月までの期間に、運転者には責任がなく、車自体の不具合が疑われる事故があったとしたら、例外なく直接被害者がメーカーに話をしなければまともな賠償を受けられないかも知れないという事実は大変なショックでした。少なくとも自動車メーカーは保険会社と実際の事故の際のシミュレーションを重ねてからああした自動運転の車を販売していたと思っていたのですが、現状ではこうなっていることはもっと多くの人に知らせるべきだなと思います。

今考えられる対策ははっきり言ってなく、特に歩行中や自転車に乗っている時は「新車には近付くな」というのが一番いい対策ではないかと思われます。一番乗りの東京海上日動が4月なので、他社がどう追随するかもわからない中での事ですので、4月以降に車の保険の満期を迎える人の中で自動運転機能の付いた車に乗っている方がいた場合、同様の補償は付くのかどうか、会社の窓口にしっかりと確認してみることを強くおすすめしておきます。ただしこれはあくまで車に乗っている人の側の話なので、全てのドライバーがここまで説明したことを深刻に考え、被害者の側に立った自動車保険に入ってくれる保証はありません。改めて自分の入っている怪我の保険などの確認をして、いざという時に使える保険に入っておくことも考えてみてもいいのではないでしょうか。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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