高齢者が運転しなくても済む社会へ

80才を過ぎた方が車のハンドルを握って運転するということは、ごく身近にそうして車に乗られている人がいる場合、やはり心配になります。先日のニュースで、群馬県前橋市内で始業式に行く自転車の女子高生2人をはねてしまった車の運転手さんは85才の男性だったということがクローズアップされた報道があったこともあり、加齢による運動能力の低下だけでなく、一瞬記憶が飛んでしまうような、軽度の認知症がある中で運転していた可能性も言われています。

特に今回ニュースで出た事故の状況は、ブレーキ痕がない状態でセンターラインをオーバーし、被害を受けた自転車が走っている路側帯に突っ込み、1台の自転車をはねた後に民家の塀に衝突し、さらに戻ろうとしたのかもう1台の自転車をはねた後で走行車線に戻るような動きをし、渋滞していた車の列に突っ込んでようやく停まったとのことです。

実はその直前に、信号待ちで右折専用車線にいた車とドアミラー同士がぶつかる事故を起こしていたそうで、その時点で意識が飛んでしまった可能性も拭いきれません。ただ、人間の意識というものは何がきっかけで飛んだり戻ったりするかというのは専門のお医者さんにも正確に判断できるのかどうかちょっと私にはわかりませんし、免許の更新時に認知機能検査を受けた上で免許自体は受けていたということもあるので、改めてそうした制度の見直しが必要になってくるかも知れませんね。

さらに注目したいのは、事故の起こった場所が群馬県前橋市という1人あたりの所有する車の台数が全国の中でも高い群馬県でこの事故が起こったということです。これが大都市であれば公共交通機関が発達していて、バスや電車の本数もあるのでそこまで自分で運転して出掛ける必然性はないのですが、公共交通機関が不便ではあるものの道路網が発達している群馬県では、高齢者を含む家族全員が車持ちという家庭も珍しくありません。今回事故をした方も、自分の運転で市内の老人福祉センターに行く途中に事故を起こしたととのことです。

改めて、この老人福祉センターとはどういうところかという点について調べてみたところ、生涯学習の提供・イベントの他にカラオケや入浴の施設があるとのことなので、いわゆるデイサービスではなく、個人の意志でお風呂に安く入ったりカラオケを楽しみたいから行っていた可能性はありそうです。前橋市の社会福祉協議会が作った老人福祉センターをひとりで利用するための資料を読ませていただきましたが、朝来て施設を利用してお風呂に入り、その後はカラオケやビリヤード・囲碁将棋で他の方との親睦を深め、夕方に帰るという一連の施設利用の流れが記されていました。

恐らく、こうした施設は全国の地方自治体にあって多くの自分で出掛けることのできる高齢者が集い、一日安い値段で居られる便利な場所として機能しているだろうと思います。当然、お元気な方なら自分で車を運転してそこまで来ることも考えられるだけに、今後このような悲しい事故が起こらないためにも、何らかの対策が必要になってくるでしょう。

もし家族による送迎ができるなら、開館から閉館までいてもらって通勤前に老人福祉センターまで送り、帰りには迎えに行くなどの方法が取れます。しかしそういう送り迎えができる家族がいない場合に頼りになるのが、施設を通る路線バスや、駅と施設を結ぶ送迎バスなのですが、必ずしも老人福祉センターやスーパーなどの路線は病院へ行くバスほどは整備されてはいないでしょう。事によってはこうした高齢者の免許返納を促すための公共交通機関の整備や維持に関して、自動車関連の税金を使うというなら、それはそれで歓迎されるべきものではないかと私は思います。

過疎が進む町では無人運転のバスやタクシーでの専用レーンを使った自動運転のシステムが今後利用できるようになれば、自分で運転できない高齢者や学生・生徒でも気がねなく利用することができるようになりますし、その交通機関があることで高齢者の方が免許を返納する踏ん切りがつくというのなら、現在大きな病院へのバス路線の拡充を行なうとともに、各地の老人福祉センターや大規模スーパーへの路線について、自家用車がなくても出掛けやすい環境を作ることを考えてもらうことが、結果として事故の少ない社会に繋がるのではないかと思います。

中には、自分の運転能力に自信があって、今まで事故など一回もした事がないという方もいるかも知れませんが、今後ご自身で運転を継続したい場合に備え、自動車会社が一般道でもある程度の自動運転が可能になるような新たな街乗り車を実用させなければ、人に運転してもらって自分では運転しない方が今回のようなもしもの事故を起こさないで済むことにもなります。

田んぼや山の中など相手車がいない所ならいいだろうと思っている方がいるかも知れませんが、そういったところでは人の目が配られない分、自損事故を起こしても誰も助けに来ないような状況も有りえます。実際に高齢で今も車に乗っている方が家族や親戚にいる場合は、一方的なものでなく双方の意味を出した話し合いを繰り返すなどして免許の更新はしてもお一人で運転しないようにするとか、お互いの妥協の中で危険な運転を自らもしないし、家族もさせないようにする取り決めをすることも大事なように思います。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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