5G基地局の動向からみた現状での大手キャリアの有利不利さ

この文章を書いているのはサッカーのワールドカップが行なわれている期間中ということもあって、ニュース種自体がスポーツ中心になり、なかなか個人的に注目すべきニュースがかき消されてしまいがちになるのですが、できるだけ安く高品質なモバイル通信を日本国内でサービスしてもらえるかという将来の動向を示した一つのニュースがあったのでここで紹介させていただきます。

現在の携帯電話・スマホで使っている電波というのは4G(LTE)と3Gが共存しています。まだ、LTEに対応する機器が珍しかった時代は、端末の表示を見て、今自分のいる場所周辺に4G(LTE)の表示が出たところを覚えておきつつ、3Gとのスピード差はどのくらいになるのかというスピードテストをして遊んでいたことがつい最近のように思い出されます。

日本では、本格的な5Gのサービス開始が東京オリンピックのある2020年に予定されていて、様々なテストが行なわれているようですが、現在の5Gの基地局には致命的な弱点があるそうなのです。

というのも、現状の基地局では一つのアンテナで半径100メートルの範囲しかサービスエリアにできないということです。これは日本国中に5Gのエリアを利用できるようにしようとしたら大変な手間とお金がかかります。単にお金の問題だけでなく、基地局を作るということは電波を出すアンテナを設置するということですから、基地局周辺のテレビがうまく映らなくなったりする可能性もありますし、人間の心情の問題としても電磁波を出すものの下で生活するということになるとお金をもらってもご遠慮するというようなお宅もあるかも知れません。

そこで、総務省が新しい技術を使った5G用の基地局の実用化を早急に実現するために、NTTおよび名古屋大学と共同で研究を行なうことを先日発表したということがニュースになっていることに注目しました。私自身は技術的なことは良くわからないのですが、電波の増幅装置に青色発光ダイオード(LED)の素材として知られる「窒化ガリウム」を使うことで一つの基地局の範囲を半径1キロメートルまで広げられるとのことです。単純な計算でもこの新技術が実用化できれば基地局の数は格段に少なくでき、大手キャリアの先行投資額も少なく済むということにつながるとのこと。ただ「窒化ガリウム」は壊れやすい素材だということで、従来の基地局と同等の耐久性を確保できるかというのが鍵になってくるのだそうです。

ニュースではこの技術を早く完成させて海外に基地局を売ることで国内の経済にも貢献しようとの想いがあるようですが、利用者の側としても5Gの利用料を安くしてもらうためにはコストを少なく利用できるものであれば好ましいということにもなります。そこで、今のキャリアではどこが国内の基地局を作るためのコストが少なく済むかということを考えてみました。

今回の研究に最初から関わっているNTTが有利なのは疑う余地はありませんが、実のところ5Gの「半径1キロ」というエリアの話を聞いて思い出したのが、すでに将来の停波が決まっている弱い電波でエリアを作っているPHSの基地局のことです。現在も基地局が残ってサービスを続けているのはDDIポケット→ウィルコムから営業を移譲したソフトバンクグループのY!mobileですが、このPHSの基地局を外し、代わりに5Gの基地局を付け替えるだけでも全国の都市や高速道路のエリアは十分に確保できるという事実に気付いた時、ソフトバンクは実にいい買い物をしたのではないかと思ってしまいます。

2020年には5Gと並んで、高速道路上ならば自動運転が可能な市販自動車の販売もアナウンスされています。自動運転が可能になるためには常に車がネットに接続され、高速で情報をやり取りする5Gの技術が不可欠なわけですから、すでに高速道路上にきめ細やかな基地局を持っているところとそうでないところの差が出てくるようだと、自動運転車に搭載されるキャリア選定にも影響が出てくるかも知れません。もし公正な競争なしに5Gの設備に差があるのに料金だけ同じで横並びになるとしたら、基地局を持っているところが大儲けすることにもなってくるでしょう。そんな事も考えながらさ来年に迫った5Gサービスの展開を見つつ、自分の使う通信会社を決めるような事になると思いますので、まだ2年縛りのような事が続くとしたら、くれぐれも加入したはいいが後から有利でなくなるキャリアを選ぶことがないよう(^^;)しっかりとキャリアの状況についてはチェックしていきたいと思います。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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