9月に入っても太陽が出ている間は本当に肌に突き刺さるような暑さだったのですが、この暑さの中ちょっと思い立って私の住む静岡市内で一般でも利用可能な井戸水を汲みに行きました。
以前(引っ越し前)には、夜のウォーキングがてら、当時の自宅からそれほど遠くない静岡市駿河区西脇にある萩錦酒造の井戸の水を分けてもらっていたのですが、ここの井戸での水汲みのマナーが守られなかったようで、気が付いた時には一般の人は水を汲むことができなくなってしまい、それまで続けていたウォーキングの習慣が途切れてしまいました。私の場合はその日か次の日にお茶を入れるような感じで1Lか2Lくらいを行った時に汲んでいただけだったのですが、大きなポリタンクを多く持ってきて水汲み場を占領したり、深夜や早朝にやってきてゴソゴソされると、やはり井戸の持ち主としては気持ちが悪くなるのかなと思ったりしました。静岡市は安倍川水系の水があり、水道の水も美味しいと言われていますが、きちんと水質管理された井戸の水の美味しさは格別で、日々私が利用しているスーパーの水とは違います。もちろん、スーパーのお水もありがたく使わせていただいていますが、水道水をフィルターを通して純水にするものが主流なので、井戸の水とは違うのですね。
そんな井戸水を自由に汲むことのできる場所はまだ静岡市内にはあります。駅からちょっと離れますが、自転車で大体15分か20分くらい離れた住宅地の中に「竹千代の水」という井戸水が湧いています。詳しい場所については「竹千代の水」と検索すれば出てきます。
なぜ竹千代の水なのかと言いますと、徳川家康の幼名が竹千代で、家康はこの竹千代時代に、この井戸水の湧く場所の近くにあった臨済寺という名刹で今川の人質としての生活をしていました。当時は水道設備はないわけですから、昔からずっと湧いているこの水源に近い水を幼い家康も飲んでいたと思うと、なかなか興味深いものがあります。
このようにずっと水が出続けていて、近所の人だけでなく一般の人も自由に汲んで利用できるのですが、当然ながら注意事項はあります。深夜や早朝の利用については基本的に禁止で、私が行った時に掲示されていたのは朝6時から夜の9時までということになります。
また、井戸をとりまく環境は普通の住宅地であるので、車を停めて汲むことも禁止されています。ちょっとだけだからということを許してしまうと、結局そうした取り決めが無くなってしまい、無法地帯になる可能性は常にあります。私は自転車を井戸の前に停めて汲ませていただきましたが、これくらいであれば許容されるようです。観光で静岡を訪れて興味がある方は、レンタサイクルやシェアサイクルを使って現地まで行くか、近くのコインパーキングに停めて歩いて訪れることが推奨されると思います。
当日は日差しも強く暑い日でしたが、井戸水はキンキンには冷えてはいないものの、十分に体を冷やすくらいの冷たさはありました。持ってきた真空断熱ボトルに竹千代の水を入れ、帰りはそれを飲みながら帰ってきましたが、近所にこうした井戸水を利用できる場所に住んでいる人が改めて羨ましくなりました。今回はそのままごくごく水そのものを飲んでしまったのですが、もう少し涼しくなってきたら、今度は沸かしてお茶やコーヒーをいただくために再訪しようかと思っています。当然マナーを守って利用しようと思いますが、全国にあまたある名水についても、同じようなローカルルールがある場合にはそれを守って利用したいものですね。