グローバルキャビン横浜中華街ルポ その1 宿泊の仕組みとネットカフェとの違い

横浜中華街の中、関帝廟の正面にある「グローバルキャビン横浜中華街」はそこまでホテルであることを主張していないような外見で、同じ中華街にオフィスのある知り合いに聞いたところ、関帝廟の前にそんな宿泊施設があるということも知らないと言われるくらい、大人しい外観です。

 

写真を見てもらうと、飲食店回りをしている人にはレストランの類でないことはわかるものの、一体何なのか、もしくは宿泊施設とはわかってもビジネスホテルなのか普通のホテルなのか、立ち止まって見ないとなかなかわからないような感じの建物になっています。

チェックインは普通のホテルより遅め(?)の17時からで、私は17時過ぎにいったんチェックインしてまた出掛けたのですが、その際予約した画面を見せながら名前を名乗ると問題なく手続きが完了し、ICチップの付いている部屋番号の刻印されたリストバンドを受け取ります。このリストバンドがこの宿泊施設を利用する場合のカギで、このリストバンドを身に付けて行動しないと困ることになります。

まず、フロント正面にあるエレベーターを使って自分のキャビンのある階に上がるのですが、エレベーターに乗って階数ボタンを点灯させるにはリストバンドのICチップをタッチして入力スタンバイ状態にする必要があるのです。こうした仕組みは普通の会社でも自分の働くオフィスに入る時に社員証に入っているICチップが必要なのと同じ理屈で、チェックインカウンターを通っていない人が進入してくることを防ぐための仕組みです。ですから、外に出る時にもこのリストバンドを付けたまま出るようにした方がいいと思います。何と言ってもこのリストバンドには部屋番号の数字が書いてあるので、いちいち自分に割り当てられた部屋の場所を覚えなくても済みます。

エレベーターを降りると共同部分(トイレ・シャワー・ランドリーなど)とキャビンへの入り口があるのですが、ここでもリストバンドをタッチしないと自動ドアが開かないようになっています。逆に言うとキャビンの中にリストバンドを忘れたまま共同部分に出てしまうと、そこからどこへも行けなくなる(エレベーターにも乗れないので)という事になりますので、常にリストバンドは付けたまま動くのが基本です。

そして、キャビンの集まる部屋はこのような感じになっています。隣り合う部屋はベッドが上下にあり薄い壁で仕切られているのみです。そして、入口がアコーディオンカーテンで閉じられているだけで、他の宿泊者が入ろうと思えば入れてしまう構造になっています(内鍵もありません)。この点については、カプセルホテルと同じ理屈で「ホテル」と言われてはいるものの旅館業法で言う宿泊する場所を多数人で共用する「簡易宿泊所」扱いの宿泊施設だというところがあります。

ホテルや旅館の場合、一部屋ごとに個室である必要がある分、同じ大きさの建物でも収容人数に制限が出てきますが、このキャビンの場合は同じ大きさでも多くの人が泊まれるような作りになっており、この利便性を維持するためにはあくまで「共同で宿泊する」形の宿である必要があり、カギを付けるわけにはいかないということなのだそうです。

同じくらいの料金で利用できる施設として、先日利用した鍵のかかる個室があるネットカフェがありますが、利用していて思ったのは、個室内はカプセルホテルと同じような設備だと思うのに、こちらの方は部屋はオートロックになっているので、部屋自体をロッカーのように使うことも可能で、利便性は高いと言えます。なぜネットカフェでは鍵付きの部屋が提供できるのかということは、ちょっと気になるところなので、改めて調べてみました。

そうして調べたところ、ネットカフェの方が旅館業法上の宿にあたらないような営業形態で運営されているというところに違いがあるということのようです。旅館業法が適用されるかどうかの判断基準としては、「宿泊料金を徴収しているか」というのがあり、私が事前予約の際に一泊の宿泊料金を払ったのは宿泊施設に該当するからで、ネットカフェの場合は料金はあくまで利用時間に応じて決まるようになっています。

つまり、元々ネットカフェは漫画喫茶から漫画だけでなくネットも利用できるようになり、そこにシャワーや朝食のサービスなどが追加されたようなところがあるので、利用する単位は「一泊いくら」ではなく「時間いくら」という風になっているので、夜間パックや12時間以上利用したとしても「ネットカフェで宿泊する」という想定はされていないということになるのです。

その辺はグレーゾーンで、まさに道の駅やサービスエリアで問題とされる車中泊における「仮眠」なのか「宿泊」なのかという問題と似ているとも言えます。改めて思い返してみると、先日利用したネットカフェでは足を伸ばして寝られそうな部屋の中にあるのはクッションと簡単な毛布だけで、ちゃんとした布団と枕が用意されていたキャビンとは微妙に違っていました。また、ネットカフェの方には滞在時間に応じて今出るといくらかかるかという料金がリアルタイムに表示されていたので、チェックアウトの時間が早いならその分安く利用できるということにもなります。

この辺の差をどう考えるのかというのもキャビンタイプの共同宿泊施設に(つまりカプセルホテル)泊まる前に考えておいた方がいいというところになります。個別スペースは確保されているものの仕切りは薄かったりするスペースというのは、相手も自分も発する音が筒抜けになるということです。その細かいところなどは次回以降で紹介しますが、決して人が入ってくる心配なくプライベートな空間を持ちたいなら個室ネットカフェの方が向いているということはあるのです。その点を理解した上で改めて次回はキャビンの設備について紹介していこうと思います。


カテゴリー: 旅日記 | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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