ここ数年で「あおり運転」という行為があり、ドライブレコーダーの普及により、今までは個々の体験を文章にしてこうしたブログやSNSで紹介していただけだったのが、動画という客観的な証拠をネットにアップすることでそれはテレビのニュースの中でも流されるようになりました。その動画には危険な運転行為を行なった様子がそのまま記録されており、車を降りて暴言・暴力を振るう人の存在が白日の下に晒されることになってしまうのです。
この文章を書いている前日にもそうした行為を行なって全国に指名手配された男性が逮捕されたことがトップニュースになっているのですが、逆に考えてみると私などは「自分が加害者になることはないのか?」とも思えます。
例えば、こちらが普通に走っていて僅かな隙間を狙って急に割り込んで来るような車があった場合、そもそも混雑する道はそんな車も出るものだと笑ってやり過ごせる寛容な心を常に持てるでしょうか。
先日、一般道を走っていたら、左方にあるコンビニの出口から猛スピードで車が入ってきたのですが、コンビニのある位置を考えると、手前の交差点をショートカットしてどうやら出てきたようでした。さすがにその時には運転しながら腹が立ったのですが、その後で考えたのは、例えばクラクションを鳴らしたりパッシングで怒りの意志を出したとしたら、相手はその内容をドライブレコーダーで記録しており、自分がマナー違反をした後の私の車がクラクションを鳴らしたり(実際問題、クラクションをそうした目的で鳴らすのは禁止されています)パッシングをしたところから動画を編集して公開されてしまったとしたら、こちらも相手の状況をドライブレコーダーで録画して出すことがすぐにできるようになっていないと、逆に窮地に追い込まれてしまうことも可能性としてはあります。
同じように、横入りされたから同じ事をやり返すとか、かたくなに相手を行かせないようにゆっくりとした速度で走ったりとか、怒りに任せて行なってしまうということは今の世の中では大変な危険を伴うということを改めて理解すべきではないかと思います。
車の中は密室になり、相手と直接走行しながら言葉を交わすことはできないので、つい運転しながらマナー違反をくりかえす相手車の運転手を何とかしてこらしめようと気が大きくなってはたから見るとあおり運転に見える行為を行なってしまう可能性も0ではありません。大事なのは、車を運転することはそこでもし事故を起こしたら刑事罰を受ける可能性がある危険なものなので、できるだけトラブルが起こっても危ない橋は渡らない方法を考えることだと思うのです。
基本的には腹が立つ運転マナーで怖い思いをした場合でも自分の車に相手が向かってこないならばそのまま矛を収めるか、どうしても我慢ができないならドライブレコーダーを設置し、録画した動画を警察に提出する事で自分は報復しないということが大事だと思います。
しかしもし、何もこちらが相手を挑発しているとは思えないのに執拗に煽られてしまったらどうするかということも対策しておくことが必要になるでしょう。ドライブレコーダーであおり運転に至るまでの一部始終を録画しておくことはもちろんですが、現場ですぐ警察に連絡できるようにハンズフリーで電話できる仕組みを車の中に用意しておくことも大事でしょう。
110番に電話した音声は録音されていると思いますので、そこで相手の罵声や車を叩く音や暴力を振るわれる音など、状況が切迫していることが証拠として残ります。ドライブレコーダーの動画の場合、今後は動画を編集して「フェイク動画」を作ったのでは? と疑われる可能性もありますので、複数の状況で自分が悪くないことを証明できるように考えておくことも大事です。それから、相手の車からからまれていると感じた時点で、車の全てのドアをロックする(多くの車は集中ロックなので運転席だけろっくすれば良い)ことと、挑発を真に受けて窓も開けないことも徹底した方がいいでしょう。
あと、この文章を書いている直前に起きた、全国をまたにかけて「あおり運転」をしていた人のケースでは、実際にあおる「カモ」を見付けては仕掛けていたのは深夜から早朝という他の車が少なく、通報される可能性が低い時間帯を狙っていたような節があります。夜に仮眠を車中で取ってできるだけ遠くへ行きたい場合、やはりそれくらいの時間に移動したくなるのはわかります。ただ、自分の車にドライブレコーダーが付いていないような場合、深夜から早朝以外なら現場を通行する車も多く、他の車によって決定的瞬間が撮影されたりするかも知れませんが、車が他にはほとんど通らない時間では孤立無援になって危険度が増す可能性もありますので、止むを得ずその時間帯に運転するような場合は調子に乗って飛ばすことは控えつつ、他の車がいたらまとまって走るなどの対策を取ることも必要になってくるのではないでしょうか。