渋野日向子選手の偉業とそこからわかる強くなる方法の多様性

ブログのテーマとは関係ありませんが、昨日はつい夜ふかしをしてテレビを見続けていたのですが、まさか大坂なおみ選手に続いてゴルフのメジャートーナメントで日本の選手が優勝する瞬間を見ることができるとは思わなかったので、昨日は自分には全然関係のない事ながらも何か高揚感がありました(^^;)。

それくらい、ゴルフのメジャートーナメントで優勝するのは難しいのですが、才能がある選手が人以上に努力をしても今までずっと取れなかった(樋口久子氏の全米女子プロ選手権の優勝から42年振りと言われていて、男子では達成者がいません)状況をずっと見てきただけに、それこそ日本国籍を持つハーフの選手でなければ難しいのではないかと思っていました。

それは、現在も大活躍している男子ゴルフの松山英樹選手や、種目は異なりますが男子テニスの錦織圭選手があと一歩のところで優勝に手が届かない状況が続いていたので、もはや遺伝的な身体能力の高さを持つ新しいスターの方に期待するしかないのかなと思っていたのですが、今回の渋野日向子選手が全英女子オープンで勝ったことで、同期の日本選手だけでなく多くの日本のアスリートに希望を与えたのではないかと思います。

渋野日向子選手は今年から本格的に日本ツアーに参加するようになったルーキーで、プロテストには一回失敗しています。それでも、プロ初の勝利は日本のメジャートーナメントという引きの強さを持ち、今回の全英女子オープンも、直近の試合で好成績を収めたことで最後の1枠にすべり込んだ運の強さも持っているという、実に不思議な選手です。

個人的には3日目が終わって首位に立っても、他の日本選手のプレッシャーに押しつぶされるように崩れてしまう内容を見ていたので、果たして大丈夫かという感じて見ていたら、コースに出てすぐに4パットのダブルボギーで首位から陥落するという、その後ガタガタに崩れてしまうことも頭をよぎる展開になりました。

しかし、今回のトーナメントではスタートからの9ホールでは調子が上がらなくても、後半の10番ホールから18番ホールで一気にスコアを縮めて上がってくることを繰り返していたので、前半さえ大崩れしなければと思いつつテレビを食い入るように見ていました。結果についてはニュースで出た通り、最終日も後半に一気にスコアを縮め、常に先行するライバルとなったアメリカのリゼット・サラス選手が短いバーディーパットを何度も外したまま同スコアで入った最終ホールで、力強く打ち出したパットが見事に決まり本当に劇的な優勝が決まりました。

この快挙の裏には様々な要因があると思いますが、やはりコーチの青木翔さんの存在があるでしょう。笑顔を絶やさなかったのもコーチとの話の中で笑ってしまったというケースもあったようですし、それがプレッシャーとは無縁なプレーにもつながっていったのでしょう。またプレーとは関係ないところで話題になっている、地元の岡山から応援にやってきたファンから貰ったタラのお菓子をプレー中に食べていましたが、これも普通のコーチなら自重させるようなことも考えられる中、自由に食べさせてリラックスさせたというのも、近くにいて彼女を見ていて、その精神状態を把握している方ならではのことだったでしょう。そういう意味で、今回の勝利は当然渋野日向子選手の力ではありますが、それこそ奇跡のスタッフとの出会いがあったからこそなのかなという感じがするのです。

ゴルフ中継では彼女の強さの理由として、生まれた時からずっとゴルフだけをしているわけではなかったという事も紹介されていました。小学校まではソフトボールとの二刀流で、ピッチャーでは95キロ出したとか(^^;)、遠投で58m投げたということなので父母の遺伝子を受け継ぐ(両親とも陸上選手)才能を発揮していたそうです。打つ方でも主軸を打ち、当時の握力が50kgとか、ドライバーを振り回してパー4のホールを1オンするというのもそれだけの能力があるからなのかと調べてみるとなるほどと思う事が多くなります。

しかし、ゴルフというスポーツは体力勝負だけのスポーツでは有りません。ほんのちょっとしたきっかけでもガタガタに崩れてしまうメンタルが大事なスポーツであり、その点で日本人が勝てそうで勝てないという状況が続いていたということが言えると思います。

しかし今回の渋野日向子選手は、普通のゴルファーなら一気に夢から覚めてしまいそうなグリーン上で4パットするダブルボギーを打った後でも攻撃する姿勢はそのままに、調子を上げていきます。プレー中にお菓子を食べることは体にとっては負担となる点もあるでしょうが、それ以上に気分をリラックスさせる効果を生み出し、後半9ホールは実に素晴しいプレーを行なうのに貢献したと思います。

このようなプレースタイルは、いわゆる体育会的なスパルタ的な指導では、まず「お菓子禁止」の処分が下されて、練習をするにしても本人が楽しくないような状態で行なわれるようになったと思います。これは人によって差があると思いますが、今回の結果を受けて考えると、来年の東京オリンピックを目指して練習しているアスリートは多いと思いますが、全て一律の指導方法では、今回の渋野選手のような才能を潰してしまう可能性があるということも確かではないかと思います。やる気を指導者の叱咤激励で大きくし、禁欲的な生活の中努力することで世界一を掴むような選手ももちろんいるでしょうが、そこまで泥臭い事をしなくても自分の才能を伸ばしていけるような選手もいるわけで、いかにそうした「うまくなる傾向」を見付けて伸ばしてくれる指導者の存在がいかに大事かという事が改めてわかりました。

今後の渋野選手は様々な人が周りに現われ、マスコミの取材対応など環境も一気に変わると思いますが、スタッフの皆様におかれましては、さらに色んな大会で好成績を残せるようにご本人を仕向けるような形でこの才能を伸ばしていって欲しいと本当に思っています。渋野選手は今後も日本ツアーに出場する方針を明らかにしましたが、今後の女子プロツアーは、とんでもない盛況になるでしょう。車中泊をしながら全国のトーナメントを回る「追っ掛け」も出てくるのではないでしょうか(^^)。改めて渋野日向子選手の今回のメジャートーナメントでの優勝、おめでとうございました。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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