昨年度の新車販売台数から見えてくるもの

日本の場合その年の通年というものと、「年度」という3月末で区切る形で一年をまとめる考え方が混在しています。今回はいわゆる「年度末」の2017年4月から2018年3月末の新車販売台数のランキングが発表されましたので、その内容について見ていく中で、一般にはどのような車が求められているのかという流れを考えていきたいと思います。まず、具体的なランキングを見てみます。日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が出した通称名別新車販売台数(速報)によるデータです。

1位:N-BOX(ホンダ)22万3449台
2位:プリウス(トヨタ)14万9083台
3位:ムーヴ(ダイハツ)14万5643台
4位:デイズ(日産)13万6505台
5位:タント(ダイハツ)13万4660台
6位:ノート(日産)13万1119台
7位:アクア(トヨタ)12万8899台
8位:ワゴンR(スズキ)12万1224台
9位:スペーシア(スズキ)11万3691台
10位:ミラ(ダイハツ)10万4221台

1位のN-BOXの売れ方がいかにすごいかというのは2位のプリウスとの販売台数との差を見れば明らかでしょう。ある意味、2位から10位までの車種の中では入れ替わる可能性はあるものの、1位のN-BOXの座を脅かすものではありません。新たにモデルチェンジしてからのN-BOXの車としての魅力度の高さがあると見なければならないでしょう。

ノーマルのN-BOXでも軽の中では一番の車内空間を確保していて、さらにN-BOX+ではシートアレンジで2名の車中泊可能な空間を作り出せることで、旅行での利用の他、災害時のシェルター代わりにもなる日常の足に使える車ということで、これだけの人気を集めていると考えることができるでしょう。

また、自動車税が上がっているにも関わらず、未だ軽自動車の人気が高いことも示しています。普通車でのランクイン車というのは、第2位のプリウス、第6位のノート、第7位のアクアの3台だけです。来月は恐怖の(^^;)自動車税の支払いの時期になりますが、私の乗っている1300ccのホンダフィットでも34,500円が一気に飛んで行きますし、その半分以下の出費で済む軽自動車は、新車価格が高くても維持費が安い車がいいという一般ユーザーの声がランキングにも反映しているということではないでしょうか。

メーカー別で言うと、ホンダ・トヨタ(ダイハツ)・日産・スズキと出てくる中でマツダは蚊帳の外になりました。これは、単純に軽自動車の製造をしていないということもあるかと思います。ホンダはN-BOXだけランクインしたということは、相当N-BOX押しの営業活動をやったのかとも思えますし、トヨタは唯一ハイブリッド車2種をランクインさせていて、売りまくっているものの今回ランキングインした中では、なかなか車中泊用としてはアクアのような車は使いにくいと思いますし、軽自動車に消費者の嗜好が偏る中で今後も電気自動車でなくハイブリッドで行くのかが気にかかります。スズキはダイハツと比べるとランクインした車種も少なく、ハスラーがこのランキング圏外で、スペーシアが入っているということは、N-BOXと通じるかも知れませんが、室内空間の広さをユーザーは求めているという感じでその煽りを食ったという気もします。

ただ、以前にも書きましたがこれ以上室内空間の広い軽自動車を作ろうとした場合、現在の軽の規格との中でそのバランスをどう取っていくかというところが、もはや行きつくところまで行きついてしまっているのではないかという気もします。そうなると、ブランドイメージが今回のニュースでさらに高まるホンダのN-BOX人気は今後も続き、他のメーカーはホンダの独走を指をくわえて見るだけになってしまうのかということにもなってしまいかねません。

あと気になるのが、第6位に日産ノートが入っていますが、e-powerの割合がどのくらいだったかということですね。e-power搭載車については最近セレナが出たばかりでラインナップも少なく、全体の日産の売り上げからするとそこまで多くないかも知れませんが、軽でもなくハイブリッドでもないエンジンで発電する電気自動車としてランク上位のアクアと競合する車がe-powerノートだと思っていますので、今後数年のランキングの動向が気になります。個人的にはe-powerになったキューブならファミリー層にもアピールできる車になるのではないかと思うのですが。

最後に指摘させていただきたいのは第10位のダイハツ・ミラです。普通の軽自動車がランクインしている背景には軽の乗用車の中ではランクインした車の中で唯一100万円未満の新車価格である車があるというのも一つのポイントとしてメーカーの方には考えて欲しいと思います。若者に車を買わせたいなら、2年リース終了で返さなければならない方式を押しつけるのではなく、単純に安い車というものを作ることも免許を取る若い人を増やすためには有効な手段ではないかとも思えます。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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