2017年のMVNOを取りまく状況 その1 安売準キャリアと楽天モバイル

いよいよ2017年も終わり、来年に向けての動きも慌ただしくなってきました。そんな中、このブログでは格安SIMを上手く使って通信費を節約したり、野外でのモバイル通信の楽しみ方について紹介をしてきました。ここで改めて翌年に向けての大手キャリアやその他の通信会社の動向について考えてみたいと思います。

大手キャリア3社は新しいサービスを出してきても3社ともほぼ横並びになるなど、ユーザーが通信会社を選ぶ場合、同じ会社同士や付随サービスの割引や同社間通話無料などのサービス面で周りのユーザーがどこの会社と契約しているかによって選ばざるを得ない状況で安定しているような感じでした。そうしたしがらみのないユーザーが料金を安くするためにMVNOへ今までは行っていたのではないかと思いますが、そこに割って入ってきたのが「Y!mobile」と「UQmobile」という準キャリアの進出だったと思われます。

「Y!mobile」は、元々PHSサービスで生き残ったウィルコムと、ウィルコムから分かれたイーモバイルをSoftBankが買収することでできたキャリアで、今ではSoftBankの回線を使い、独自の端末とセットで長期契約を結ばせるSoftBankの下請けのような会社ですが、テレビを見ると格安SIMを求めている層を先に刈り取って端末の分割販売も合わせ、長期にわたって維持される自動更新の途中更新に解約料がかかる契約を取ろうとかなりのCM攻勢を掛けています。

ただ、MVNOを含め格安の通信料金を提供する大手3キャリア以外の会社では、現在の楽天モバイルを除いて通話無制限であるオプション「スーパー誰とでも定額」の設定があり、長期契約のディメリットを理解した上で加入するなら選択肢てしては今のところここしかありません。実際問題、これは大手キャリアの影響下にあるからこそできることで、大手3社から回線を借りているだけのMVNOにはできない芸当です。

MVNOにはできないと言えば、今年新しく出たApple Watchに組み込まれている「eSIM」に契約データの内容を書き込んで、同時に契約したiPhoneがなくてもApple Watchのみで通話やデータ通信ができるという仕組みでしょう(現状では新たにeSIMが使える「フルMVNO」のサービスが開始されても、MVNOごとにAppleとの契約がないとApple Watchの利用は難しいという見解もあります)。将来的にiphoneが物理的なSIMカードでなく「eSIM」のみで提供されるようになった場合、今のままの単に回線の一部を借りているだけのMVNOではジリ貧になってしまう可能性があります。本来、公正な競争を促すために政府の方針で規制緩和を行なって欲しいところですが、これは来年の動向を見ての判断になるでしょう。

また、「Y!mobile」と同じように大手キャリアのサブキャリアとしてテレビコマーシャルを流しまくることで知名度を上げたのが「UQmobile」です。個人的には元々、モバイルでの高速通信「Wimax(現在はWimax2)」を提供していた親キャリアとしての認識で、そのUQmobileがauから回線を借りてサービスを開始した格安SIMの部門というのは、どちらかというとドコモに対するOCN モバイル ONEのようなものだと思っていました。

今でも回線の品質からすると、「データ無制限プラン」(データのみ1,980円税別)は最大500kbpsとなっていますがかなり安定していると評判ですし、そこもauとの密接な関係あればこそでしょう。ただ、コマーシャルでおすすめされているのは通話プランとデータ通信がセットになった2年契約で自動更新のある音声通話とデータ通信のセットプランです。Y!mobieとの比較で注意したいことは、通話一部定額の設定はあるものの通話無制限の設定はUQmobileにはありません。

もちろん、大手3キャリアがそうであるように、端末とのセット販売による契約の長期化(端末の分割販売や2年更新のプランを併用することで割引を提供する)があれば、契約したものの即解約というようなユーザーの気まぐれを防ぐことができますので、このような形で営業を掛けるのは当り前だと思うのですが、これではMVNOのメリットの一つ、いつでも好きな時に解約が可能なメリットが薄れてしまいます。

大手3キャリアが今まで批判を受けていたことの一つに、端末はあくまでキャリア専用で、セット購入でなかなか他の通信会社と契約できないように縛るというものがありました。もし通信会社が通信プランのみを売るだけで、端末はそれぞれのメーカーが家電製品のように売るような事ができれば、もちろん最新型のスマホは高額になりますが、売れ残った型落ち品を安く購入することができ、さらにメーカーが3社どのSIMでも使えるようなSIMロックフリーの端末を作っていれば、同じスマホを別のキャリアに行っても使い続けることができます。

しかし、こうした端末との抱き合わせ販売はMVNOでも普通に行なわれていることでもあり、この状況はこれからも変わってはいかないでしょう。もちろん、最初から大手3キャリアのような縛りのある契約であることは理解しつつも、大手より通信料も端末料金も安く便利に使えるというメリットとしてはあるので、使い方によっては選ぶ意味がないわけではありません。あくまで私の使い方ではそのコンセプトに合わないというだけですので、お互いのメリット・ディメリットを十分理解した上で準キャリアを利用するのは悪くはないと思います。

そして、まだその全容が明らかにはなっていないものの、本格的な第4のキャリアとして通信業界に参入を表明した「楽天」がどのようなサービスを行なっていくかが注目を集めていくことになるでしょう。ただしここまで紹介してきた「複数年契約(自動更新あり)プラン」・「専用プラントのセットによる端末の安売り」「通話とデータ用プランの優遇」という3つの流れは変わらないと思いますので、大手3キャリアというよりも2つのサブキャリアとの比較で、どのくらいお買い得感を出せるかというのがまずはポイントで、そもそも他の3社と比べたエリアの問題や、通信品質はどうなるかということも合わせての評価になっていくのではないかと思います。とにかく新たに通信事業に参入するということになると初期投資の額が半端ないものになると思いますので、本当に参入できるのかということから楽天の動向については注目していきたいと思っています。

Y!mobile【UQmobile】楽天モバイル


カテゴリー: モバイル関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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