電力問題を小さなところから考えてみる

 ソフトバンクの社長さんが音頭を取ってメガソーラー構想なるものがあったり、現首相が原子力発電所からの決別を言ってみたりと、流れは自然エネルギー利用の方向にあるようですが、そう簡単には行かないでしょう。というのも、話をごくごく小規模な車の中での電力確保という点で考えてみても、車中泊をするためにサブバッテリーを設置するとして、そのサブバッテリーを切らさないように充電サイクルを確保するのは大変なことだからです。

 サブバッテリーを設置しておられる方が旅行中に電気を使うためにやっているのは走行中に車のダイナモを利用しての充電ですが、これはまさにガソリンを使った発電行為です。これを太陽光発電や風力発電で代替できるのかということを考えた時、電力問題の大変さというものもわかってくるところがあります。

 今のソーラーパネルの性能と蓄電池の組み合わせでは、車の屋根に設置する程度の大きさでは、長期にわたって車を利用しない時の自然放電を抑える程度の出力しか得ることはできないだろうと思われますので、私は早々にそうした大がかりな設備投資を現状では諦めました。とりあえず、単三単四電池を充電して使うくらいの利用方法しか実用的でないと判断し、ここで紹介しましたバイオレッタソーラーギアというポータブル発電システムを導入しています。現状では家電製品を動かすぐらいの電力を得るためには、オートキャンプ場にあるコンセントを使うのが一番無難で(^^;)、サブバッテリーを走行中に充電するシステムを作ることで、バッテリー容量を気にしながら何とか最低限の電気を使うこができるという感じです。逆に言うと、それだけ自然エネルギーを使った発電の普及がむずかしいとも言えると思います。

 新しい太陽電池パネルが開発され、車の屋根程度の広さのパネルでもそこそこサブバッテリーを充電できるようになればいいのですが、問題は発電能力だけでなく蓄電池にもあります。多くの方がサブバッテリーとして使われているものは充電と放電を繰り返していくうちに性能が落ちていくので、定期的な点検と交換も必要です。

 そう考えると、エネルギーを自給するためには太陽電池うんぬんよりも、いかに高性能で劣化の少ない蓄電池が開発されるかどうかにかかっているとも言えます。先日紹介したリチウムイオンキャパシタがポータブルバッテリーやサブバッテリーシステム用として現状の鉛蓄電池程度の容量のものが出てくれば、車中泊の環境は相当に変わるであろう事が予想されます。

 家庭内においても、日中の電力供給について屋根に設置した太陽光パネルや風車でそこそこの給電が確保できるなら、現状でも高性能で耐久性のある高容量の蓄電池さえ一般家庭に普及すれば電力会社との契約がなくても電力をまかなえることも可能ですし、自家発電システムがなくても、常に蓄電池の容量を満タンにしておくことによって停電時の非常用電源とできるだけのものが普及すれば、自然エネルギーの開発については後回しでも原子力発電に依存しなくても何とか停電を起こさずに済むようなことになるでしょう。

 そんなわけで、ここ数日の太陽エネルギーこそが日本のエネルギー問題を救うという考え方よりも、いかに早く実用的な蓄電池を開発できるかに日本のこれからがかかっていると私は思うのですが。


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電力問題を小さなところから考えてみる」への2件のフィードバック

  1. ツタや 投稿作成者

    ソーラー装置、まだまだ不十分な気がします。
    だって震災で壊れたら何の意味ないです。
    屋根に載せるのは、いいけど基礎がやられたら
    崩壊ですね(苦笑)

  2. てら 投稿作成者

    車でのソーラーパネルについては、特殊な塗料で車のボディに吹き付け可能なタイプのものが開発されているという話もあり、そういう装備が一般化したものが出てくればそれはそれで面白そうですね。
    とにかく、今の太陽電池パネルの値段は高すぎて有効に使えるかどうかわからない中で導入するというのは私にはとてもできません。

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