日本の大手メーカーが見捨てた製品の行方

 先日ちょっと書かせていただきましたが、海外旅行をする方にはある一定の支持があったと思われるSANYOの「トラベルポット」および「トラベルクッカー」はSANYOがPanasonicに吸収されるに従って生産中止の憂き目に遭ってしまったようです。昨日JTB系列の企業が経営する旅道具の店に行って改めて聞いてみたところ、トラベルクッカーのEC-TR4AVも、トラベルポットのU-TS500AVも生産中止扱いで販売を再開することは難しいとのこと。そのお店に置かれてあったのはトラベルポットのみで、プラスチック製のものだったので、プラスチック製はにおいが移るからと言うと、お店の方も金属製のSANYOポットの方が良かったのにと残念がっているようでした。

 PanasonicがSANYOを吸収するに当たり、さまざまな製品を整理していく中での一環だと言えばそれまでですが、こういったかゆいところに手が届く家電製品というのは外国のメーカーにはできない日本メーカーの良心だったように思うのですが、人材のリストラとともに合理化の名の元で良品をどんどん消していくというのは、日本のメーカーとしての存在意義を小さなものにしてしまうのではないかと私には思えてしかたありません。金属製の少ない電力で使えるトラベルポットおよびトラベルクッカーは、私がこれまで紹介してきたように、小さなサブバッテリーシステムとインバーターでも余裕を持って使えるということで、国内レジャー用としてだけではなく、いざという時には車のバッテリーとインバーターを直結することで防災用品として便利に使えるという特徴を持っていたのですが、まさにあまたの防災用品が出ている中、肝心なものが消えてしまったような感じですね。

 このような例の他にも、日本国内での潜在的なニーズに即応できない例が過去にも見受けられました。最近ではネット上にある音声ファイルをダウンロードすることについてかなりの制約がかかるようになり、ラジオ放送やカセットテープ、CDなどを直接MP3ファイルにしてSDカードやUSBメモリに保存するような形でのオーディオシステム に注目が集まりつつあります。ただ、こうした製品は以前から需要があり、技術的にも簡単に作ることができたにも関わらず長らく日本の大手メーカーからはこうした製品は出てきませんでした。そんな中、いち早くSDカードスロットの付いた小型コンポを出したのは日本の中でも大きなメーカーではない山善という会社でした。
(Qriom CBX-4022SD)

Cbx4022sd_2

 恐らく出たのは5年以上前で、ラジオ録音のためのタイマーも付かない本当にいち早く出しただけの製品でしたが(^^;)、他に同様の製品がなかったため結構当時は売れたと記憶しています。その後、メモリー媒体に音楽を入れて聴くことが当り前になって、これは昨年のちょうど今頃に出たモデルですが、ソニーからこんな製品が出ています。
(SONY ZS-R100CP)

Zsr100cp

 細かい違いはあるにしても、日本の大手メーカーが出さない製品を小さなメーカーが先に出し、それが売れたからなのかどうかわかりませんが、全く同じような製品をそれほどの工夫もなく出してしまうパターンというのを確認することで、日本の製造業は今後大丈夫なのかと私は冗談ではなく心配しています。

 なお、最初にあげさせていただいたトラベルクッカーについてはその代替となる製品がヤザワコーポレーションというメーカーから出ているのですが、このヤザワコーポレーションは以前このブログで紹介させていただいた、日本では今までどこのメーカーも出してこなかった乾電池で動くワンセグ音声が聞けるラジオを出したメーカーです。まさに、大企業が簡単に見捨てたものをそれほど大きくない日本のメーカーが細々とではありますが担ってくれているというのが今の日本の現状だと言えます。

 今後も日本の大メーカーが売れ筋の品物しか作って売らないというなら、私はむしろ名前の通らないところであっても小さなメーカーの機動力から来るかゆいところに手が届く商品開発力に大いに期待したいですね。


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日本の大手メーカーが見捨てた製品の行方」への2件のフィードバック

  1. acefeel 投稿作成者

    海外旅行用ポットは 利用する人が減ったから 消えたのかと思ってたよ。
    テントむしを買って 大活躍することに なるとは 思っても 見なかった (笑)
    すごく 便利だよぉ。(*^。^*)

  2. てら 投稿作成者

    acefeelさん こんばんは。
    今回自分でバッテリーのシステムを作り、それを何とか節約しながら使おうと考えた時、いわゆる「電気ケトル」のようには瞬時にお湯は沸かないものの、安物のインバーターと組み合わせてもちゃんと動いてくれる海外旅行用のポットは実にありがたかったです。今の日本では熱いお湯さえあればインスタント食品がすぐに食べられますし、ポット自体を汚すことはないので、湯沸しに特化した電気ポットを使いたい人は結構多いのではないかと思うんですけどね(^^;)。

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