太陽電池との付き合い方 その3 充電用ニッケル水素電池の管理について

 キーワードだけで検索して来られた方の中には、太陽電池パネルによる電力確保に大きな期待を寄せている方も多いかと思います。しかしここまで書いてきた中で、蓄電するものは単三か単四型のニッケル水素電池ぐらいが個人で持ち運べるセットとしては無難だろうということでさまざまなものを揃えてきました。大きなサブバッテリーを充電するのではないので気軽に始められる反面、気を付けておいた方がいい点もあります。曇りの日や日陰など条件の悪い場合は発電効率が落ちることはもちろんですが、私自身エネループが発売される前からのニッカド電池から充電池を主に使ってきたので、今回はニッケル水素電池自体の話をしてみたいと思います。

 三洋電機がエネループを出してきた以前の単三単四型の充電池は、今のように乾電池の代わりに気軽に使えるようなものでは必ずしもなく、多くの問題を孕んでいました。満充電して旅行に持っていき、いざ使おうと思った場合、充電済みのはずなのに容量が全くないというようなトラブルを、特にデジカメのような高い電圧で動かすものの場合にはよく遭遇しました。それは、充電してから時間の経過によって徐々に自己放電してしまうためで、充電してからすぐ使う分には問題ないのですが、そうでなければ急激に放電により性能が落ちるというのがそれまでの充電池では結構あったのです。しかし、今のエネループやそれに類する充電池では5年経過してもある程度は使えるとうたうぐらい自己放電の特性については改善されています。これは昔から比べると大変使いやすくなった点です。

 ただ、時間経過による自己放電が起きてしまうような古い充電池でも、太陽光発電で充電したものについては、別の蓄電の方法を考えれば今でも実用になるでしょう。前回紹介したように、太陽電池パネルでの充電が終了したらすぐにその電池を使って大型のポータブルバッテリー(リチウムイオンタイプが便利)に充電をしてしまえば、多少のロスはあるものの、自己放電してしまう前にエネルギーを受け渡すことができます。また、従来のニッケル水素電池には使い切らないうちに継ぎ足すように再度充電してしまうと、次第に実際の容量よりも少ない量しか給電できなくなってしまう「メモリー効果」なるものがありました。この問題についても今出ているエネループなどの電池では継ぎ足し充電OKということをメーカーがうたっているため、ちょっと給電した状態ですぐまた充電することも問題ないと思います。しかし昔の電池で同じように継ぎ足し充電をするととたんに電池として使えなくなってしまいます。以前は、いかにして電池の容量を使い切ろうかと考えたものでしたが、満充電の状態からすぐに容量の大きいポータブルバッテリーに給電すれば、メモリ効果が発生しないくらいまで簡単に電池の容量を使い切ることができます。こうした使い方は以前の充電池のウィークポイントを逆手に取るような感じで使えるので、以前使っていた充電池が余っているというような場合は、太陽電池パネルによるエネルギーの受け渡しの仲介として利用するのもいいかなと思います。

 そうは言っても、新しいエネループのような電池は、長期間充電しなくてもすぐに使え、そのままではパワー不足を感じたら、気軽に太陽電池パネルで継ぎ足し充電できるのでやはり便利です。太陽電池パネルを使って充電する電池は、基本的には新しいエネループ型の自己放電が少なく継ぎ足し充電可能な電池を用意するのがいいでしょう。

 ただ、一つ気を付けなければならないことがあります。Guide 10 Plusは太陽電池パネルから単三や単四電池に電気を溜め込みますが、充電中から充電完了のサインをパイロットランプで行なっています。説明書にある通り80パーセント以上になったら緑色が早く点滅するわけですが、そのようにして充電が完了したと思っても、電池の状況によっては十分に充電ができていないことがあるのです。

 もちろん多くの場合、充電器自体の故障ではありません。Guide 10 Plusは恐らくそうだと思うのですが、充電完了の判定をするのに4本まとめての数値で判断していると、1本充電できていない駄目な電池が混ざっていたとしても、他の3本が十分充電されていれば充電完了のサインを送ってしまうことがあります。1本ずつ充電管理をしてその容量が個別にわかればいいのですが、もともと太陽光による充電というのは曇りになったり日陰になったら充電効率が著しく落ちるので、4本まとめての判定方法でないと、うまく作動しない恐れが出てくるのではないかと私は推察します。こうしたトラブルを防ぐためには、4本1セットの内、著しく電圧が低いものを判定するための道具が必要でしょう。充電完了した電池の容量を測り、電池の当たり外れを判断するためには、100円ショップなどで売っている乾電池チェッカーあたりでもだいたいのことがわかります。満充電したつもりでも思うようなパフォーマンスが発揮できない場合には、電池のほうを疑ってみましょう。そして、できるだけ充電しない電池は外した上で4本のセットを作って充電を行なえば、給電も安定して行なうことができます。

 電池の容量のばらつきをそのままにしておき、4本のうち1本だけ駄目な電池がまざっている場合、せっかく充電が完了したと思っても、残りの1本を再度充電しなければならない充電の二度手間が発生します。自宅でコンセントから充電している場合にはそうした充電作業も簡単ですが、何しろ太陽光に頼る発電ですからできるだけそうした作業ロスは排除したいところです。旅に出る前に持ち物をチェックし、著しく電圧の低い電池は除外してもって行くようにしないと、肝心なところで充電できているはずなのに使えないというトラブルに見舞われる恐れがありますので、その点にも十分ご注意下さい。


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