キャパシタ式ラジオへの期待

手回しハンドルの付いた充電式のラジオは、今回の震災において一気に注目度が上がりましたが、以前のエントリーで紹介したように手回しがめんどくさかったり、ハンドルが折れてしまう可能性があるなどディメリットもあります。私が考える一番大きな問題は、こうした充電のできる家電製品全般に言えることでありますが、いざという時に本体にセットされている充電池(ニッケル水素電池であることが多い)が劣化によって使えなくなってしまうことであったりします。購入当初はカタログ値程度に使えても、数年使わないで置いておくうちに充電池が劣化するというのは、コードレスホンの子機を使われている方なら心あたりがあると思います。コードレスホンの場合はかんたんに市販されている互換電池と交換できますが、残念ながら手回しラジオ内に入っている電池を交換できるものは私の把握しているところではありません。これでは、現在の防災意識が高い時に買ったものがいざ災害に遭遇した時に使えないという状況にもなりかねません。

以前のエントリーを書いてから、もう少しましなものはないかといろいろ調べていたのですが、ここにきてようやくおすすめできそうなものを見付けました。ただし、今回紹介するものは現在手元にないので(個人的にはこの種のものは被災地の方優先になってほしいと思っています)、伝聞のような書き方になることをどうかお許し下さい。

http://www.nagatac.co.jp/products/e_p/index.htm

上のリンクで出てくるライト付き手回し発電ラジオは、元々学校の授業用に用意された製作キットの形で売られているものらしく、一般には市販されていないものらしいのですが、商品名で検索していただくと現状では完成品を売っているところもあるようです。ダイナモだけではなく、太陽電池も付いていて、どちらの方法でも充電可能ということなのは嬉しいですが、それ以外は他のラジオと違いはないと思われる方もいるでしょう。しかし、このラジオが充電池の代わりに搭載している「キャパシタ」という部品がすごいのです。

キャパシタといってもピンと来ない方もおられるかもしれませんが、キャパシタとは「コンデンサ」の別名です。性質としては充電池のように化学反応によって蓄電せず、物理的な吸着によって蓄電するようになっているので、従来の充電池の弱点であるメモリー効果もなく、充電池とは桁違いの耐久性を誇ります。充電池では反応しないような微弱な光でも太陽電池を介して蓄電することができ、低温にも強いとのこと。物理的にハンドルが壊れるような事がなければ、電源部の劣化はそれほど考えなくてもいいということなので、車のシートの下とか非常用持ち出し袋の中に放り込んでおいてもいざという時に頼りになるラジオではないかと思っています。もし手回しハンドルが壊れてしまったとしても、太陽電池が使えるので全く使えなくなることはありません。ただし、キャパシタで蓄電できる電池は充電池と比べると極端に少なく、満充電でもLEDライトが約5分間、ラジオは10~20分程度しか使えないと商品説明にあります。しかし、このラジオでは単三電池2本でも動くようになっていますので、キャパシタからの電力で動かすのはあくまで非常用と割りきれば電源部がほとんど劣化しないというメリットの方が大きいように思います。車中泊の旅で使う場合は、携帯電話を充電するためのアダプターも付いているため、その点でも車に積んでおくと便利でしょう。

今後、国内大手メーカーであるパナソニックやソニーが今回の震災を受けて、どんなラジオを新たに出してくるのか、それとも新しいものは出さないのかはわかりませんが、もし新しい手回し発電ラジオを出してきたとしたら、まずは発電した電気をどうして蓄電するかということに注目してみるといいと思います。私たちはどうしても大きなメーカーのものだから安心だという風に思いがちですが、災害用の手回し発電ラジオにとって一番大切な点は、いつでも安定してラジオやライトを付ける電源を供給できるかということに尽きます。こうした点にも注意を払ってラジオを選ぶことで、いざという時の安心感は増すように思えます。


カテゴリー: ラジオ | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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