適正な価格で買い物をするために その1 限定数のあるマニア品のプレミア価格について

 マスコミが大きな声で振り込め詐欺の撲滅を訴えたり、危険ドラッグの怖さについてキャンペーンを張っても、なかなかこうした詐欺や薬物の根絶までには至りません。それは、人間には欲があり、ついそうした欲に負けて正常な判断ができないことの裏返しではないかと思います。

 そのように考えると、先に挙げた2つの例ほど注意喚起されない、どう考えても適正ではなさそうな価格で物が売られている場合について、つい高値だと思っても買ってしまう人が後をたたないのも仕方がない気がします。東京駅開業100周年のSuicaが原価の2,000円で売られていたものがネットオークションで数十万円とか数万円の値を付けても入札があったというのは、当初このSuicaは東京駅の一箇所でしか販売されず、購入も1人3枚までという制限があり発売枚数についても1万5千枚という限定であったためだと言われています。

 その後、限定数の撤廃と通販での販売が決まったようです。これで全く関心がなかった人でさえも、発売に関する情報を逃さなければ定価で買えるようになったことで、純粋に欲しいと思っている人には行き渡ってしまうので、冷静に考えると原価の上乗せ分としてはせいぜい記念切手くらいのプレミアしか付かないだろうと私は思います。もしこうした措置が取られず、予定の1万5千枚で販売が終わったとしても、世の中に1万5千枚もあるものですから、すぐに入手するつもりがなければ、鉄道グッズを専門に扱っているショップでこの話題が落ち着いた頃合いを見計らって、美品で保存状態の良い物を購入するようにすれば、数万というプレミア価格で買わされることはないと考えるのが自然です。コレクションとしてすぐに手に入れたい気持ちはあったとしても、世の中に数枚しかないようなものでないことはわかっていますし、一昨日の時点でこのSuicaに数万円出す判断をしてしまった人は、ある意味正常な判断力を失い、振り込め詐欺に引っかかるような精神状態であったのではないかと私には思えるのです。お金というのはいざという時にないと困るものですから、冷静に考えれば後で安く手に入ると思われるものなら、できるだけ我慢できるところは我慢することが必要ではないかと思いますね。

 物の価値というのは需要と供給のバランスで決まるというのは事実で、いわゆるプレミア価格でなければ購入できないものというのも存在します。しかし、それには条件があり、同じもののようでも傷や汚れのない保存状態の良い物、箱や台紙が付いているものといった条件の元で付けられた価格という場合もあります。今回の騒動でネットオークション経由のプレミアム価格で買ったSuicaにキズが付いていたり、本体のみの価格であったりした場合、将来プレミア価格が付いたとしても売ろうとしてお店に持ち込んで見てもらったら、売り主の手元にある段階での管理がされていないせいで額面以上の評価は得られなかったということも起こり得ます。だれが出しているかわからないオークションで購入することのリスクがこの種の物を買う場合に起こる可能性があることも覚えておいた方がいいでしょう。

 それでも、明らかに転売狙いの品であってもお金を余分に出して買ってしまう人が後をたたないのは、ネット上でワンクリックで簡単に手に入る仕組みがあるからだと思っています。事前に情報を調べたり、寒い中徹夜をして並んだりしなくてもお金で解決できるならと考える人がいることで、オークションで一儲けしようとする人の需要も出てくるわけです。逆に言うと、情報収集能力と体力、忍耐力さえあれば必ず利益を上げられる状況が今あるわけですから、こうした人たちが今後も増えることはあっても減ることはないでしょう。

 私個人としては、たとえこうした状況に反対しても何とかなるものでもないですし、チケットのダフ屋の類はいつの時代にもある話なので、あくまで買う側の意識の問題として考えた方がいいと思っています。この種の話についてはいろんなケースがあるので、私自身の物欲を抑制するという意味でも(^^;)、引き続き冷静に分析していきたいと思っています。


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