車で遭難しないためには

 2013年の台風18号は豊橋周辺に上陸し、ほぼ私のいる静岡県を直撃することになってしまいました。上陸してからはものすごい雨と風でしたが、連休に入った前日と前々日はほとんど台風による影響は受けませんでした。

 しかし、9月14日から始まった三連休は全く出掛ける気にはなりませんでした。ある場所では全く雨が降らなくても、そこからほんの少し離れた場所ではゲリラ豪雨や突風被害が出るということは普通にありそうですし、無事に目的地まで到着したとしても帰りに台風の直撃を受ける可能性は大だったので、どこにも出ないで自宅を守るために警戒を行なうのが最良と判断しました。

 もしものための準備として、一応非常食やラジオやライト、そしてクーラーボックスを空にして用意し停電に備えていました。多くの自然災害の中では、台風がかろうじてその動きを確認しながら備えることができるため、いざという時には用意したものを背負って避難することも考えていましたが、幸いそこまでの被害は出ませんでした。周辺が大きな被害を受けていたり、避難勧告を受けている方々については、警報が解除され危険がなくなるまではうかつに動かない方がいいでしょう。

 こういう天候が予想される場合には、必ずと言っていいほど公共交通機関はストップし、高速道路も一部区間が通行止めになるなどします。テレビで情報番組を見ていたら、新宿駅からのレポートで、その日東京ディズニーランドへ行く予定の人が新宿で立ち往生して困っているという報告がありました。さすがにこれは、この時期の台風を舐めた行動と呼ばれても仕方ないでしょう。多くの人は台風情報によって一番台風が接近する日であることが予想されたわけですから、たとえパックツアーや宿泊施設の予約をしていたとしても、どうしても現地に行かなければならない理由がなければ出掛けなかった方が駅で立ち往生して大変な思いをすることもなかったのではないかと思われます。

 それでも、公共交通機関を使って移動する場合は、時間雨量や風速の基準を超えた場合は安全に運行することを優先するので自分たちの生命が危険にさらされることはほぼないと思われますが、車で無理に移動しようとした場合、それこそ命の危険に繋がります。昨日のニュースで知ったのですが、名古屋から台風が上陸しようとしている状況で前の日から大阪のUSJへ向かおうとした親子が、三重県まで来て冠水して身動きが取れなくなった車から降りて逃げようとした(?)ところ流されてしまったのか(乗っていた無人の車の中に雨水が入ったような痕跡があったとのことですが、何とか無事でおられることをお祈りしております)行方不明という状況になっているようです。高速道路で言えば新名神と名阪国道が並行して走るところで、今回の台風では相当雨がひどかったので、どちらの道路もしばらく通行止めになっていました。私も関西に行く場合にはよく使う道なのですが、幹線道路が通行止めになっている時点で旅行を中止することも考えて安全な場所で台風をやりすごすべきだったと思います。車で移動する場合はとにかく前に進みたくなることはわかりますが、カーナビが一般化したがゆえに、幹線道路からわき道に入り、とにかく関西方面に抜けられる道はないかとナビを過信して遭難現場まで進んでしまったという可能性も考えられます。

 かくいう私も、まだカーナビが一般化する前、今回以上にひどい台風が上陸した際にどうしても東京へ行く用事があり、夕方に車で出発したことがありました。その時はまだ新東名はなかったので当然のごとく東名の清水~富士間が通行止めとなり国道1号を走りながら東京方面に向かったところ、箱根峠が通行止めになっていました。そこでどうしたかというと、完全に止まった道路で他の車とともにエンジンを止めて延々と待ち続け、ポータブルラジオから箱根新道が開通したとの情報を得て何とか深夜に峠を越えましたが、目的地に着くまでには都合12時間もかかってしまいました。おかげで東京で用意していたホテル代が無駄になってしまいましたが、これはもう仕方のないことでした。もし当時、今程度に使えるカーナビがあったとしても、私はカーナビを頼るよりも渋滞の中、多くの車と一緒に道路の開通を待つ方を選んだと思います。

 やみくもに走り回って人家のないところで立ち往生してしまった場合、自力で何とかしなければならなくなりますが、自分一人でできる事というのは限られています。特に公共交通機関や幹線道路が止まるような自然災害にぶつかった中で孤立してしまったら、場合によっては生命の危険も考えなければなりません。そもそも旅行に出発しないことを含めて、危険の匂いを感じたら同じ境遇の車が集まっているところでじっとしているというのがまずは大事なのではないでしょうか。


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