災害時に個人レベルで使える充電システムについて考える

 フィリピン レイテ島を襲った台風30号がもたらした被害のすさまじさについては、ようやく現地取材をしているテレビの映像で垣間見ることができますが、台風でこれほどの被害が出るのかと思えるくらいの状況に見えました。

 水や食料が絶対的に不足している状況は変わらないですが、その次に必要なものはガソリンや電気など、エネルギーを使うものではないかと私には思われます。ガソリンは車やバイクを動かすためだけではなく、発電機を回すのにレイテ島でも使われているようで、それによって携帯電話の充電ができるようになったものの、多くの人が発電機のある場所に殺到して順番でトラブルが起こっている映像がありました。そこでの状況は見たところかなり殺伐としていて、何とかならないものかと思ったりしました。

 今の日本でこうした極限状況の中、電力を生みだして携帯電話やスマートフォンの充電を行なうためにはやはりガソリンを使って地域の防災倉庫に用意されているであろう発電機を使用して回すことがまず行なわれるでしょう。しかし、ガソリンの供給ができなかったとしたらこうした設備を使える人は限られ、なかなか個人の携帯電話を充電することは難しいでしょう。その他の方法として現在の日本では、公共施設や店舗だけでなく、個人宅で太陽電池パネルを設置していてその装置一式が生きている場合は災害時でも電力供給ができるかも知れませんが、配線が切れてしまったり、電池が破損してしまったような場合は太陽電池パネルが正常でも個人レベルでの修理が難しいかも知れません。

 前回のエントリーに書いた通り、外付けバッテリーを覆う程度の大きさの太陽電池パネルでは、太陽光をすぐに電気に変えて使うことは難しいと思います。私の場合は、下のリンクにある折りたたみ式の太陽電池パネル(100W)がもし使える形で残っていたら、これに自動車の鉛バッテリーを繋いで充電し、インバーター経由で出力すれば最低限のことは何とかなるかもと思っています。ただこれも、太陽電池パネル自体や接続するための機材が壊れてしまっていたらそれまでです。

http://syachu.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-c6ce.html

 また残念なことに、このような太陽電池パネルのセットをだれでも簡単に用意するわけにはいかず、むしろ最初に紹介したガソリンと発電機の方がよっぽど実用的である可能性もあるでしょう。どちらにしても一般家庭に必ず備え付けてあるものではないため、もう少し一般的で簡単な個人レベルによる発電方法についてもその必要性を主張していくことは大事です。家庭への普及度の点から言うと、手回し式の災害用ラジオで携帯電話もスマートフォンも充電するという手段はありますが、手回しで携帯電話を復活させてもすぐにまた使えなくなってしまう程度の電力しか作ることができないように思います。私が思うに、どこの家にもあって、そのものにちょっとした機能を付けるだけで携帯電話やスマートフォンを充電できる程度の発電ができるものがあればもっと話は簡単なのではないかと思います。それが、車輪のところにダイナモ(発電機)が付いた自転車なのです。

 自転車によってはライトを電池式にしてダイナモが付いていないものもありますが、多くの自転車は電源がなくてもライトが付くダイナモが搭載されています。この発電機を使ってUSBの5Vに出力ができれば、今ではUSB端子に繋いで充電するコードは簡単に入手できますから、かなりの応用がききます。個人的には直接自転車に携帯電話やスマートフォンを繋ぐよりも、汎用性のある単三単四のニッケル水素電池を充電し、その電池をライトやラジオ、携帯電話やスマートフォンの充電に使うというパターンが災害用としては便利だと思います。今の携帯電話では防水防塵性能だけでなく、耐ショック機構も付いたものが出ていますので、それなりの防水機能があり、後輪にダイナモを付けてUSB出力の付いた自転車くらい、今の日本の技術力からしたら簡単に作ることができるのではないかと思うのですが。そうなればガソリン不足で動かない車の代わりに、人や荷物を運ぶために自転車を動かしながら、効率的に電気を作って貯めることができるようになるでしょう。

 私はこうした機能が付いた自転車をもしもの場合の防災機能付き自転車として売り出してほしいと思っていますが、実は防災以外にも全国的にこうした自転車の需要はあると思っています。それは、自転車通学をする中学生や高校生が、通学時にミュージックプレーヤーやゲーム機、携帯電話やスマートフォンを充電できたら便利だと思っているのではないかと思うからです。後輪にダイナモを付けると、スタンドをかけた状態で休み時間に自分の脚力でスマートフォンを充電しまくることもできます。通学自転車のオプションということでこのシステムを付ければ絶対受けると思いますし(^^;)、災害時にこのような自転車が多くあるということになれば、例えば避難所にこの機能が付いた自転車を複数設置し、簡易的な充電ステーションにすることもできるでしょう。こうした仕組みを自転車に付けるということはすでに行なわれていて、これまでにも自転車に設置できる製品も出ているようですが、ニッチな製品のためか常に製品が供給されているわけではないようです。ぜひここは、日本の大きなメーカーが改めて発電および蓄電システムの付いた自転車を開発して安定的に供給してくれると嬉しいですね。今私が乗っている自転車にそのシステムが付けられれば言うことはありませんが、そうでなくてもこの機能が付いた自転車が出たら買い足してもいいと思っています(^^)。


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災害時に個人レベルで使える充電システムについて考える」への2件のフィードバック

  1. 匿名 投稿作成者

    tp://www.ibikeconsole.com/catalog.asp?catid=88190
    tp://www.youtube.com/watch?v=Uh_aq2wqttA
    昔からあるよ

  2. てら 投稿作成者

    製品の紹介ありがとうございました。
    リンクで紹介いただいた製品は日本のアマゾンに商品ページがありましたが、残念ながら在庫がなく、「この商品の再入荷予定は立っておりません」となってしまっていました。これでは現在では直接個人輸入するような方法でしか手に入れることは難しそうですね。また、できれば前輪側ではなく、後輪側にダイナモが付けられるものでないと、スタンドを駆けたままで充電ができないので災害時の仕様に制限があるようにも思えます。
    ただ、海外でこうした製品があって、日本のメーカーが今ある自転車にオプションで付けて出さないのは、やはり何か根本的な問題があるのかと考えてしまいます。製品の安全や耐久性に問題がなければ、今の日本でも欲しいと思う方はいると思うのですが、何とかならないものでしょうか。

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