災害時にも使えるソロ湯沸し mkettle

 野外でお湯を沸かすためには様々な方法がありますが、常に安定して燃料が購入できるならばキャンプ用のガスが簡単でてっとり早いものの、災害時のような非常の場合は同じガスでも支援物資として流通しやすいカセットガスを使ったカセットコンロやキャンプ用の小型ストーブを一つ用意しておくと安心かも知れません。今では100円ショップに飛び込めば多くの店舗でカセットガスが売られていますので、私はそうしたカセットガス用のコンロのみを車で持ち運び、必要に応じて現地調達するような使い方を想定しています。

 しかしながら、旅行中に全くお店が見付からなかったり、災害時に外から全く物資が入ってこなくなったような場合も想定しておくことも大事だと思います。キャンプ用にはそこいらに落ちている小枝などを集めて炊きつけにし、その熱で調理ができる焚き火台やコンロ類があり、その中で実にユニークな製品があります。お湯を沸かすことに特化した「ケリーケトル」という湯沸しです。これは、下で火を焚いてその上からかぶせたヤカン部の中央に穴が開いた構造になっていて、水は容器の穴の周辺にたまるようになっています。火は穴を通って上に抜けるため熱効率が良く容器中の水を温められるので短時間でお湯を沸騰させることができる仕組みになっています。

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 今回紹介するmKettleはケリーケトルと同じものではありませんが原理は同じです。イギリスのメーカーが発売しているのですがケリーケトルとの違いは、より小型で持ち運びしやすくなっていることと、ヤカン部分をそのまま手で持てるようにネオプレーンで巻かれていることで、多少熱くはなりますが何とか手で持ってお湯を注ぐことができるようになっています。

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 通常は火を焚くところに小枝などを入れるのですが、写真のようにトランギアのアルコールストーブがちょうどぴったりはまるので、今回はアルコール燃料を使っておよそ500mlの水からお湯を作ることにしました。

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 上から見ると下に置いたアルコールストーブの炎が中心の筒の部分から出ていることがわかるでしょう。こうした仕組みがあるので早くお湯が沸くわけです。できればある程度容量のあるステンレス保温水筒を用意しておけば、水を持ち運ぶだけでなく作ったお湯を保管することもできます。mkettleの容量は満水でだいたい530mlということで500mlくらいを入れたのですが、やはりというか沸騰して一気に吹きこぼれてしまいました(下の写真)。

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 吹きこぼさないためには少々水を少なめにすべきで、カップラーメン用なら400ml程度からが妥当でしょう。ちなみに500mlほぼ満水の状態で風の影響のない場所で試したところ、だいたい8分ぐらいで沸騰しました(アルコール燃料はだいたい20ml+αぐらいだと思いますがこれで残りませんでした)。ただこれでは、言うほどそんなに早く沸騰しないのではないかと思い(^^;)、今回使用したトランギアのアルコールストーブの火力調整蓋を底に敷いてかさ上げをし、炎をよりケトルの部分に近づけて同じく500mlの水を沸騰させたところ、より炎が筒の上から立ち上るようになり、沸騰時間も6分30秒くらいまで短縮されました。トランギアよりも火力が強い、エバニューのチタンアルコールストーブならさらに沸騰時間が短縮できるのかも知れませんが、よく燃える分アルコール燃料を消費してしまいますし、本体以外のフタや火力調整蓋は元から付属しないのも残念です。実際は400mlぐらいを沸かすことがほとんどだと思うので、とりあえずはトランギアとのセットで使っていきたいと思っています。

 この他、青色の固形燃料も使えますし、小枝や松ぼっくりを燃やすという本来の使い方の方が炎が大きくなるので早くお湯が沸くことが予想されますが、ススや燃えカスが出ることで後片付けが大変になるということを考えると、燃焼して蒸発するだけのアルコール燃料での利用も捨てがたいものがあります。小さくまとめて持ち出せることから、防災用のリュックの中に入れておけばどんな環境でも水から湯を沸かせるこのセットの有用性は高いと思っています。バイクでのツーリングのお供にもこうした小さくまとまったセットはありがたいものですから、普段は趣味的に使いながらいざという時に備えるという使い方もありでしょう。まだ取り扱い店舗が限られるのが残念ですが、意外と拡張性もあるのでこれからもう少しいじりながら湯沸し以外の使い方についてもその方法を探っていきたいと思っています。


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