災害対策にローテクの準備も

 昨日は映画「オデッセイ」を見に行ってきました。火星に人類が上陸し、そこで一人の宇宙飛行士が火星に取り残されるものの、奇跡の生還を成し遂げるまでの一大スペクタクルフィクションです。

 現在にそんなことはありっこないと思っていてもついつい面白く最後まで楽しみながら見ることができました。その中でも興味深かったのが、火星と地球との交信を初めてする場面です。現在の人類の技術を結集したような装備の中でも、専用の通信機がなければ情報のやり取りはできませんし、何か基地に残してきたもので情報のやり取りをする方法があったとしても、それをとり残された宇宙飛行士に伝えることができません。

 いかにして火星から地球と連絡を取るかというのが、物語の大きなターニングポイントになるのですが、詳しい内容は映画で見てもらうことにして、かろうじて宇宙飛行士が火星の地表に埋まっていたあるものを活用することで、静止画を撮映し、その内容を地球に送ることができる、回転するカメラを太陽電池によって動かすことに成功しました。

 ただ、これだと火星からの連絡事項をパネルに書き、それをカメラに撮影することで地球に送ることはできますが、地球からの伝言を伝える術がありません。映画の中では「YES」と「NO」のボードをカメラのそばに置き、カメラがどのボードの前で止まったかを記録することによって、火星からの質問に二択で答えることはできていたのですが、これではとても細かい内容の打ち合わせなどできません。何と言ってもアルファベットは26文字あり、その他の記号なども含めれば、更なるボードの数が必要です。

 そこで登場してきたのが、「16進数(16進コード)と半角英数字/記号(ASCIIコード)の対応表」です。知っている方は知っていると思いますが、数字の「0」から「9」と、英字の「a」から「f」の16の文字で、半角英数字と記号を表記することができることを利用し、カメラの周りに円形をつくり、そこを16分割してそれぞれに16の文字を並べます。16の文字が円形に並んだ時点で、地球のスタッフはすぐにこの理由に気付き、見事に地球のスタッフと連絡を取ることに成功したのでした。すぐに火星にある機材で地球との通信をする方法を教えてもらい、そこからは電子メールによる地球との交信が可能になったのです。

 ここまで何の通信手段もない状況というのは今の日本では考えられないかも知れませんが、今当たり前に使っているインフラが一切使えなくなった場合のことも考えておいた方がいいのかなと映画を見終えて考えてしまいました。もはや古くて誰も使っていないような通信手段でも、一応取っておいて何かの時には使えるように準備しておいた方が何かの役に立つのではないかと思えます。

 携帯電話の電波を含めたライフラインが全て遮断されても、ラジオを使えば一方通行ではありますが災害時でも被害の状況などを入手することはできますが、こちらから発信することは極めて困難になります。もちろん、通信インフラは元通り使えるように復旧作業がされるとは思いますが、携帯電話の基地局自体が壊れてしまっていたらすぐには復旧は見込めないでしょう。

 もしそんな中、メタル回線や公衆電話が使えるようでしたら、今では誰も常用している人はいないであろうFAXモデムとノートパソコンをモジュラージャック経由で接続してFAXの送受信やメールの送受信くらいはできるようにしておきたいなということで、つい通販でUSB接続できるFAXモデムをネットで注文してしましました(^^;)。

 もちろん、メタル回線の電話通信網が使えない場合はこうした準備も全くの無駄になってしまうので、そこまで行けば救援を黙って待つしかありませんが、通信が復帰した時に備えてオフラインでの作業に集中することもできます。安否情報だけなら災害用の仮設電話が避難所に設置された時に災害伝言ダイヤルを使って自分の情報を吹き込んで行けばいいわけですし、道路が通じ救援部隊が先に来てくれる状況があれば、来てくれた人に手紙を渡すとか、パソコンやスマホで作ったデータを託すこともできます。

 そういう意味では、例えば使わなくなった容型の少ないmicroSDカードを数枚非常用に持ち歩いておき、手紙と一緒に託すというのが相手にもそれほど負担を掛けずに大量の情報を送ることができます。災害用ということでいうと、一枚の紙を封筒状にして送ることのできる「郵便書簡(ミニレター)」と一緒に使わなくなった空のmicroSDカードを筆記用具とともに用意しておけば、しばらく携帯電話が使えない状態であっても多くの写真を含む情報を託すことができます(託した相手には、そのままポストに投函してもらうように頼んでおきます)。ミニレターは現在一枚62円と格安で、microSDのような薄いものを同梱することに問題はありません。東日本大震災の時も各種宅配業者の中で一番先に動いたのは郵便局でしたし、いざという時に連絡したい人数分、ミニレターやハガキ(手紙だけで用を済ませられる場合)を用意しておくことは大切だと思います。もしくじに外れた年賀はがきの余りがあったら、それも非常用持出袋に入れておきましょう。


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災害対策にローテクの準備も」への2件のフィードバック

  1. けいたいまにあ 投稿作成者

    時期は未定ですが、今後メタル回線の巻き上げが行われるのは確実ですが、一部でメタルを光ファイバーと勘違いしている向きもありますが、実際はPSTNのIP化が柱のようです
    その時に現在のモデムが使えるどうか不明です
    復旧に関しては携帯網のほうが移動基地局をつかって復旧が早いようなので、無線での対応のほうが優れていると思うのですが
    気球みたいなものでも基地局にできるらしいです
    ただ、現在の3Gが停波して4G、5Gが主流になったときに消費電力よりも速度などを重視しているようなので、
    災害時のことも考慮にいれてほしいものですね

  2. てら 投稿作成者

    電子メールですら時代遅れとか言われる時代にファクシミリが存在しているというのに疑問を持つ方もいるかも知れませんが、まだ家庭にファクシミリが設置されているところもありますし、不在時でも受け取れるという点では、いざという時にはまだ十分に使える感覚があります。
    実際にモデムが届いたら、今のノートパソコンで送受信のテストはきちっとやりながら、新たな可能性についても探っていきたいと思っています。

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