政府が主導する「携帯電話料金引き下げ」方策への違和感

 現在の総理大臣が総務省に命じ、今の家計の中における携帯電話の料金は高すぎるので、値下げを行なうように料金引き下げ検討を指示したというのがニュースになっていました。いわゆる物が売れなくなった原因の一つに、スマートフォンを中心とした携帯電話料金にいっぱいいっぱいの家庭が多いことに、政府もようやく気付き出したこということではありますが、もしこの話を受けて携帯大手3社が料金をMVNO並みに下げたプランを出したらどうなるでしょうか。

 普通に考えれば今まで安い値段でデータ通信を提供してきたMVNOの中でも規模が小さいところから経営が立ち行かなくなり、今のような競争による様々なプランを選ぶことができなくなる可能性が危惧されるような気が私にはするのです。というか、携帯大手3社以外のMVNOはデータ通信料金を下げて使いたいという人たちに向けて、既に一定の役割を果たしており、情報を知ったご家庭から、今までの契約を見直すようになり、MVNOの安いものに流れています。そこを十分認識した上で政府が動かないと、かえって日本のモバイル通信の環境は悪くなるという見通しも出てこようと言うものです。

 MVNOが存在できるのは、ある意味高額な携帯大手3社の料金と比べても安くてそこそこ使えるデータ通信契約があるいう認識が広がったからです。さらに、今日本では人気のあるスマートフォンのiPhoneを使う場合、端末を購入するための初期費用が少ないプランを用意しているのは携帯大手3社だけなので、この状態で基本料金まで安くなってしまったら、iPhoneを使いたいと思っている人がわざわざMVNOにとどまる理由がないとばかりに一気に大手3社に戻ってくるかも知れません。どちらにしても携帯大手3社が毎月の利用料金を下げる前提として打ち出してくるのが3年以上の長期契約でしょうから、一度戻ったら当分多くのユーザーは携帯大手3社に囲い込まれ、通信事業者の独占は今よりも進んでしまうのでないかとすら思います。

 さらに考えていくと、結局のところ政府主導で単価的に携帯電話料金が安くなったとしても、いわゆる情報弱者で今までも家計における携帯電話料金の割合が高い家庭では、さまざまなセット契約を結ばされるなどして、安い方に移ろうとしてすぐに解約しようと思ってもできず、毎月の端末購入費を含めた割高な通信費支払いに追われるような状況に劇的な変化はないように思います。あくまで政府レベルで出来る対策としては、それこそ市町村レベルで通信費全般における相談窓口を開き、どうしても高い通信料金が払えない人たちにMVNO各社の契約を斡旋する方がよっぽどましなのではないでしょうか。とにかく、今払っている高い(1人月1万円以上もざら)携帯電話料金も、現状のMVNO業者を選べば半額以下に安くすることができるということを多くの人に知ってもらうことが大事だと私は思うのですが。


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