悲惨な事故が起きても変わらない車周辺の話題

 京都・亀岡市で起きた居眠りによる交通事故は、単なる交通事故ということではなくさまざまな問題を私たちの前に示してくれました。事故を起こした車両が私の乗っているワゴンRのノーマルよりグレードが高い車であり、所有者の人がどれだけの金額で手に入れたのかだいたいわかるのでそれも実に痛々しい思いがします。

 今回、問題の少年にハンドルを握らせるのを許可したのは所有者本人ではなく、いわば強制的に別の人間が連れだって借りに行き、1日で帰ってくるはずが又貸しされて今回の事故を引き起こしたとの報道があります。こうした報道を全て鵜呑みにするのも問題はあると理解はしていますが、実際問題、加害者が被害者に対して賠償し切れるのかという心配がありますね。

 報道の内容を総合すると、まずハンドルを握っている本人が自動車保険に入っていたとは思えないので、車を貸した人物がどの範囲まで自動車保険に入っていたかということと、加害者の父親などが車を持っていて、その保険が今回の事故についても使えるような内容で契約していたかということがポイントとなるでしょう。状況によっては所有者が契約していた保険を使って賠償させるような可能性もあります。

 今回の事実とは結果的に異なるかも知れませんが、今回報道されているように初めて車を買ってもらって使おうと思ったところ、周辺の図々しい知り合いが強引に車を借り出しに来たり、突然自分で運転させろと言ってきて断れ切れずにそのまま事故を起こしてしまうような話はこれからも日常的に起こりうることです。その場合、同意の上で貸したことになってしまえば事故を起こした際には所有者の責任は免れることはできませんが、その点について大変重要なニュースが昨日入ってきたのを御存知でしょうか。自動車保険は一定の割引率に基づいて価格が決まっており、今までは事故を起こして保険を使ってもその範囲で上がったり下がったりするだけでした。それが今年からの改定で、事故を起こして保険を使うことに対するペナルティーが科せられ、1件の事故を起こしてから3年間は別枠の割高な保険料を支払わなければならなくなるそうです。自分の運転で事故を起こしたならそうしたペナルティも納得されるかも知れませんが、知り合いに貸した状態で事故を起こされた場合、自分の運転に責任は全くないのにかなり高い差額を支払わなくならなければならなくなります。そういう事を踏まえ、よほど信頼している友人か家族にしか貸さないようにしないと大変な目に遭うことは想像に難くありません。

 しかし、半ば強制的にカギを奪い取られ、そのまま乗っていかれてしまった場合、すぐに警察に届け出ようにも後からの仕返しが怖いところもあるでしょう。車を持っていない知り合いが多い中、自分が車を買うこと自体を手控えてしまい、全体の消費行動自体にも影響が出てくるのではないかとも思われます。せめて指紋センサーをオプションで用意し、事前に登録した人間以外がエンジンをかけようとしても動かないとか、メーカーもすればいいと思うのですが、飲酒検知機能と同じようにメーカーは市販車に付ける気配すらありません。今回の自動車保険の改定でも、今ある衝突回避機能を持っている車に乗っていればどうなるのかとか疑問はありますが、少なくともそうした機能が付けば事故が減るという客観的な事実が出揃った時点で保険料を割引くというのが筋でしょう。現実に起こっている悲惨な事故は、さまざまな課題を私たちに与えてくれますが、自動車メーカーや保険会社は協力して事故を起こしにくい車に政府からの補助金を出すように積極的に働きかけてくれないと、また同じような悲惨な事故による被害者が出ることを止められないのではないかと思います。今の段階で十分に気を付けてハンドルを握るということはもちろんですが、人間の良心だけに訴えても事故を無くすことはできないということを十分に考えた上で大企業の英断を期待します。


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