家庭の通信費削減には冷静な計算が必要

 ちよっと前の話なので御存知でない方もいるかも知れませんが、インドネシアに鉄道を走らせる計画があり、その事業を日本と中国が争っていたのですが、先日のニュースで中国が受注することが決定したそうです。日本の高度なインフラが海外で使われないというのは残念ではありますが、中国の方はインドネシア政府に一銭もお金を請求しないプランを提案してきたということで、これは負けるべくして負けたという感じがしますね。

 国家の一大プロジェクトと私たちの身近の話をごっちゃにするのはかなり乱暴な話かも知れませんが、私たちの身の回りにも家庭内の通信費を考えるにあたり、スマートフォン購入時に「実質無料」のような言葉が飛びかっておりますが、実のところ「実質無料」であってもけっこうお金がかかるケースがあったりします。もちろん、例に挙げさせていただいたインドネシア政府は、事前に日本と中国のさまざまなプレゼンを受け、問題はないと決断したから中国のプレゼンを受け入れたのだと思います。中国の方としても、鉄道敷設後のメンテナンスなどで将来にわたってインドネシア経済における影響を及ぼし続けられるという計算もあったでしょうから、もしかしたら日本のことわざで言う「損して得取れ」という形の提案だったのかも知れません。つまり、建設時には持ち出しになってもこれから未来永劫に続く期間において、管理費やメンテナンス費用をごっそり受け取ることで、当初に余分に出したお金を回収するつもりでプレゼンしたのではないかということです。

 今、多くのスマートフォン利用者がお金を払っているケースにおいて、スマートフォン代を「実質無料」で使っている人は少なくないでしょう。しかし、ここで言う「実質無料」のカラクリはインドネシア鉄道の例とほとんど同じです。定価として10万円に近いスマートフォンを実質0円で売ったにしても、MVNOの月額980円程度しかデータ通信を行なわない人と契約したとします。MVNOの料金はあくまで大手携帯電話会社の下請けであるので、データ通信の原価というのは月額980円より安い微々たる金額であることが予想されます。さらに、MVNOにはないドメインメール利用のための月額300円を取り、実際の請求額は一番安いプランのデータ通信料だけでだいたい4千円前後といったとこるでしょう。

 ここからはかなり荒い計算になりますがご容赦下さい。単純に月額980円でスマートフォンが使えるMVNOとの契約と比較すると、だいたい差額が3千円くらいになります。実際のところ、通信費の原価はもう少し安いと思うので、場合によってはもっと差は広くかもしれません。ここではあくまで概算ということで3千円で計算させていただきますが、もし実質無料でスマートフォンを購入できたとしても、およそ2年間の縛りがあるとした場合、差額は72,000円になります。この時点で72,000円以上のスマートフォンを購入しており、すぐに別のスマートフォンを実質無料で機種変更できれば安くスマートフォンを持てたということになりますが、端末代の支払いが終わった後でも同じ機種を使い続ければ続けるほど実質的には毎月3,000円余りを携帯電話会社に貢いでいる形となります。その儲けが今の携帯電話会社を支えているという事にもなるわけで、政府が最近言い出した携帯料金を安くすべきという話も出てこようと言うものです。

 ただしこの計算は月のデータ使用料が、高速通信が2GB程度で制限が出るプランで作っているため、動画を見まくったりしてデータ通信を使いまくっている方の場合ではありません。それでも、私が使っているぷららの速度が3Mbos上限のいう使い放題なら、都会以外の場所で利用するならお昼や夜の速度低下もそれほどなく約3千円で済んでしまうので移行してしまった方が得な場合もあります。首都圏などで利用されていて、ぷららやその他のMVNOの無制限のプランでは速度低下がひどく使い物にならないと嘆く方は、むしろそこかしこに飛びかっているWi-Fiをうまく使って一部料金を払ってでも併用した方がいい場合も出てくるでしょう。

 これだけスマートフォンによるネット利用者が増えている状況の中、全てを満たして安く済む方法というのはないと思った方がいいと思いますが、中高生のように24時間のうち起きている時間全てスマートフォンを見ながら生活しているのでなければ、何かを諦めることによって今より安くデータ通信を楽しめる方法は出てくると思います。また、必ずiPhoneでなければならないという考えを改めることで、それこそお子さんのお小遣いでも買えるスマートフォンはいくらでもあります。一つのスマートフォンが現役として使える期間というのは案外短く、そう考えると一台10万円近くかけるよりも、その10分の1で買えるものでもLineさえできればいいと思う人もいるでしょう。このようにスマートフォンに関する考えをちょっとでも改めることができれば、なにもお上に指導してもらわなくても自分の力で通信料金をコントロールすることができるようになるでしょう。


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