太知ホールディングス 備蓄ラジオ KOBAN ECO-5 の潔さとは

 手回しハンドルの付いた携帯ラジオというのは実に多くのメーカーから発売されています。私が認識している範囲では、ソニーのICF-B200あたりではないかと思います。出てきた当時は、ついに電池がなくても聞けるラジオが出たかと感慨したものでした。私自身このラジオは買いませんでしたが、ソニー系列のAIWAから出た手回しラジオを購入し、今も持っています。ラジオとサイレン、ライトが付いていましたが、当時はまだLEDが普及していなかったので手回し発電だけでライトを普通に使うのは厳しいものでした。

 ソニーの手回しハンドル付きラジオとしては、現行機ではICF-B88あたりが国内で販売されているものの中では全体的にしっかりした作りになっているだけでなく、以上のような特徴があります。

・手回し充電だけでなくAC電源からや太陽電池で、内蔵充電池の充電が可能
・LEDスポットライト搭載
・汎用USB端子採用で携帯電話だけでなくスマートフォン充電にも対応
・単三電池2本による駆動も可能
・防滴機能でキッチン回りでも使用可能
・ケーブルだけでなくキャリングポーチ、ハンドストラップ、ホイッスルが付属

 形状的にもしっくりと手になじみ、ハンドルも回しやすいように作られています。また、操作関連の部品もしっかりしていて、高い評価があるのも頷けます。しかし私はこのラジオを買わず、今回紹介する備蓄ラジオECO-5というかなり安っぽいラジオを買ってしまいました。

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 このラジオは実売価格も同メーカーの前機種と比べて安いのですが、実はそれはかなり思い切っていろんなところを省略しているからでした。具体的には、以下のようなところです。

・使用電源は内蔵のキャパシタのみで、AC電源はもちろん、乾電池にも対応していない
・他のラジオには良くあるサイレンは無搭載
・防水機能はなし
・付属品はスマートフォン用のケーブルと携帯電話用の変換器具のみ

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 それでも、写真のようにLEDライトや普通のUSBスロット(給電用)、イヤホン端子は装備されているので使い勝手に不自由はありません。むしろ乾電池が使えるからと本体に入れたまま非常用持ち出し袋に入れておき、液漏れ事故等で使用不能になる危険性はないと言えます。メーカーが名付けた「備蓄ラジオ」というのは伊達ではないといった感じでしょうか。そして、この割り切りによって本体の大きさが大変小さくなっています。常に持ち運ぶラジオとしても魅力的に私には映りました。

 ただ、ラジオとしての魅力とともに総合評価すれば、一般的にはどうしてもブランドイメージが上のソニーのICF-B88を選ぶ人が多いと思うのですが、私があえてECO-5を選んだのは、以上のような割り切りが気に入ったことと、電源に充電池ではなくキャパシタ(コンデンサ)を使っていることに尽きます。ここでは何回もキャパシタの特性を紹介してきましたが、化学変化を利用して蓄電する充電池では何回も充電するうちに短期間の使用でも劣化が起こるのに対し、キャパシタは単に電気をためて放出するだけなので、比較的劣化せず半永久的に使えるという特徴があります。

 充電池が劣化した場合、充電しようとしてもほとんど充電されないようなことが起こります。それでも、ラジオはそれほど電力を使わないので、かなり充電池が劣化しても使用している上での変化は感じないと思いますが、併用するライトの性能には差が出てくることは予想されます。防災用としてライトを使おうとして、たくさんの回数ハンドルを回しても、少しの時間しか点灯しないということになったらあてにしていた明かりの用途にはならないわけで、やはりせっかく防災用として買うなら、キャパシタを使っているものの方がいいだろうと思ったわけです。

 選局方法はアナログなので、慣れないうちは目的の放送局に合わせることは難しいかも知れませんが、地方局が安定した状態で入感する場所でなら十分な感度を保ちます。ただ、FMはしっかりロッドアンテナを伸ばさないと安定しません。スピーカーからの音質はキンキンしたようなことはなく、そこそこ聞きやすい音質なので、本体の小ささを生かしてバッグの中に入れっぱなしにしておくにはいいラジオだと思います。あと注意したい点は、AM放送の聞ける範囲は530~1600KHzなので、高速道路や国道向けの交通情報は聞けません。こうした欠点があり、見てくれやラジオとしての中味は決して最高のものではないと思いますが、これ一台でラジオ・ライト・スマートフォンの充電がいざという時にできるという安心感は十分あります。非常用持ち出し袋に入れておくラジオとしてはこれがあれば何とかなると思いますが、これに短波が付いていたら、いざという時にラジオNikkeiが聞けたかと思うとその点が残念です。


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