何故キーボードで書くことを考えたモバイル端末が出ないのか?

 先日のキングジムの新パソコン発表の余波は大きく、しばらくは手になじむようにどこでも使える文章作成に特化したようなモバイル機器はどこからも出ないだろうという絶望感にさいなまれています。

 同じキングジムが出しているポメラDM100があるではないかという声も挙がるかも知れませんが、いわゆる痒いところに手が届くような機能は後回しにして、とにかく乾電池で動き親指シフトができ、ATOKから辞書データをインポートできるという機能が優先された発展途上の製品であることは間違いなく、私もどうしても電源が確保できないような所に行く場合は持って行きますが、普段通りの入力環境を外でも行ないたい場合は、Windowsの載ったノートパソコンを持って行かざるを得ません。

 今回、改めてモバイル環境の中で使えそうなパソコンはないかピックアップしてみたものの、条件が揃っていそうでも全部がクリアーになっているものは残念ながらありませんでした。とりあえずの繋ぎに使うという前提の元で言えば、A4サイズで薄いWindowsの入ったノートパソコンで、電池持ちがよく安いASUSのEeeBook X205TAあたりを買って、将来もっといいものが出るまで貯金しておく方がいいとすら思います。

Dsc_0199
 

 ちなみに、写真は私が今メインで文章作成に使っているLenovoのノートパソコン、ThinkPad X121eですが、現在Lenovoでは10~11インチの小型ノートパソコンを販売していないので、モバイル用途にThinkPadということになると難しい面があります。このパソコンを出先で使う場合、ネックになるのがバッテリーです。X205TAのように一日使っていても十分持つだけのパワーはありませんので、何らかの対策が必要になります。

 今後、ChromeBookへの対抗策として、Windowsの載った廉価版のThinkPadが新たに出てきてくれれば十分購入対象として注目されますが、現状では待つしかないというのが残念な点です。
 私が外でも使える文字入力マシンについてこだわる点があるとしたら以下の通りです(ちなみに、今使っているWindows7の入ったThinkPad X121eでは以下の内容のうち、バッテリー関連の項目は全てクリアされています)。

・耐久性のあるキーボード

・バッテリー長持ち あるいはUSB出力のバッテリーから給電可能な電源システム

・多くの機能を持つエディタが使える

・文字コードに「UTF-8」が使える

・キー配列の自由なカスタマイズ可能

・日本語入力で多くの方式が使えるようなローマ字カスタマイズ機能の充実

 最後のローマ字カスタマイズ機能については、私が個人的にローマ字入力でもなくカナ入力でもない日本語入力方法を使っているからなのですが(^^;)、それだけで強く推しているのではありません。今の日本ではほとんど顧みられることはありませんが、片方の手を怪我した場合や障がいにより片手が動かなくなった状態でも日本語入力を可能にする方法があります。

 もちろん、一本の指でぽちぽち押していってもいいのですが、きちんとした片手入力の方法をローマ字カスタマイズ機能によってセットすれば、テンキーだけでも入力は可能になります。さらに右手のみでも左手のみでも使えるようにフルキーボード上に片手での日本語入力の方法をセットすれば、ほとんど両手打ちに変わらないスピードで片手による日本語入力ができます。

 また、片手で入力する状況というのは怪我をした時だけではありません。どうしても端末を立ったままで使いたい場合、片方の手で本体を押さえつつもう一方の手でスラスラ日本語入力をするといったこともできるようになるのです。電卓の入力の速さを競うコンテストがありますが、一通り入力方法を学んで練習すれば、片方の手でメモを取りながらもう一方の手でパソコンを使った文字入力をするような事もできるようになります。

 パソコンやモバイル端末ではローマ字入力かフリック入力だけできれば十分というような考え方は、新たに見えてくる日本語入力の可能性を否定するものであり、あまり誉められたものではないと私は思います。

 ここまで書かせていただくのは、こうした要求というのはそれほど難しいものではなく、それこそVZエディタという多機能エディタがあったDOSというオペレーションシステム上でも全て何とか解決できる可能性はあるのではないかと思います。それこそハード的には以前NECが出していた単三電池2本で動くDOS版のモバイルギアあたりにアプリケーションを実装する形で出し直していただくだけで、ポメラDM100よりよほど使い勝手のいい文章入力マシンを作ることは可能でしょう。

 問題は、世間がそんなマシンを求めていないということなのですが(^^;)、つくづく不思議なのは、日本では紙に文字を書くための筆記用具については文字を消すことのできるボールペンのようなものすごい勢いで進化した製品が出てきているというのに、時代の先端を行く電子機器の分野ではその成長が全く見られないということです。私も書くものがついつい長い文章になってしまって読みづらいと思う方も少なくないかも知れませんが、早く正確に入力する方法について工夫を重ねても、肝心のメーカーが、使いやすい文字入力マシンを一向に出してくれない事に憤りを感じています。

 とりあえず今はThinkPadが問題なく動くのでいいですが、この後どうするかと考えると気分は重いですね。早いところどこかのメーカーがキーボードを使って長文を長時間打つ人の事を考えたモバイル端末を作ってくれることを望みたいですね。


スポンサーリンク

何故キーボードで書くことを考えたモバイル端末が出ないのか?」への2件のフィードバック

  1. けいたいまにあ 投稿作成者

    スマホが普及するのはとにかくハード的な開発が少ないってことがあるようですね
    freetel simpleが酷評されたのも、日本語の処理がお粗末って側面があったようですし、
    それだけ日本語処理とハードキーを使うっていうのは大変な気がします

  2. てら 投稿作成者

    日本語というのはアルファベットと比べると実に多くの文字があり、その処理については様々な方法があるのですが、私の利用している入力方法は漢字を変換しないで直接キーボードから入力する「漢字直接入力」というもので、パソコン側に複雑な処理を要求しない代わりに普段利用する漢字の出し方はキー入力の組み合わせを覚えなければなりません。ただ、いったん覚えてしまえば漢字変換を自分で全て決めることができるので、処理能力に難があるような昔のハードでも十分に使えます。
    問題なのは、自由な日本語入力についての試みをしている人が他にも少なからずいるのに、そうした状況が日本国内であまり考慮されないでいる事実です。今私が漢字直接入力が使えているのは、「Google日本語入力」が、ユーザーの少数意見を受けて、そうした機能を盛り込んでくれたからです。日本の企業がどこもやってくれなかったことを、一アメリカ企業が簡単に叶えてくれたというのは有難くもあるのですが、日本人として何かさびしくもあります。

コメントを残す