ラジオに関するニュースがわからん!

 朝日新聞に「ニュースがわからん!」というコーナーがあります。日々のニュースの中でわかりにくいものを対話形式でわかりやすく解説するというものですが、2013年3月29日付の朝刊ではこのブログで何度も紹介させていただいている首都圏のAMラジオ局がFMに移行することを表明したニュースについて解説されています。

 見出しが「AMラジオがFM化するらしいわね」となっていて、もうこうした路線が決定したような感じで受け取られかねませんが、さらに読み進んでいくと、大変に気になる表記を発見しました。

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 AMラジオ局がFMに移行する場合の周波数は90~108MHzとも言われていますが、「今使っているラジオは使えなくなるの?」という質問に対しての答えがふるっています。写真の記事内容の一部をごらんになればおわかりかと思いますが、個人的には果たして90~108MHzに対応したラジオをどれくらいの人が使っているのかまずは疑問に思います。

 もともと、日本のFMラジオに割り当てられた周波数は76~90MHzであり、FMをカバーするラジオはほとんどこの周波数しかカバーしないでしょう。海外のFM用と以前のアナログテレビの1~3chの音声を聞けるように76~108MHzをカバーしたラジオは確かにありましたが、ラジオ全体からするととても潤沢に普及しているとは言えないのではないでしょうか。

 しかも、テレビのデジタル化によって、ラジオ界にも大きな変化が起こりました。それまで90~108MHzの部分をテレビの1~3chの表記にして売られていたラジオはアナログテレビがなくなったことにより改変を余儀なくされたのです。地デジ化の前には全く問題なく店頭に並んでいたアナログテレビの1~3chを受信できたラジオが店頭から消え、多くのラジオが生産自体を中止してしまいました。中にはテレビチャンネルの表示を消して76~108MHzの表示をしているラジオもありますが、これを書いている2013年3月現在は、店頭で見掛けるラジオのほとんどはFMの76~90MHzまでしかカバーしないものになってしまっています。つまり、AMラジオのFM移行に関する記事を読んでラジオを買い換えようと思っても、新しく移行する放送局を聞くことのできないラジオを買ってしまう可能性は限りなく高いということになるのです。

 それを、「カーラジオなど一部は使えない可能性もある」とはよく書いたものです。この記事を読むまで自分のラジオはどうなるのだろうかと心配していたラジオリスナーの方々は、カーラジオはだめでも今使っている据え置き型のラジオなら大丈夫だろうと、大新聞の書くこととして信頼した上で誤読する可能性があります。また、あせってラジオを買い換えたものの新周波数に対応しないものを買ってしまったりすることもあるでしょう。とりあえず、現状では今のラジオを使い続けていて何ら問題ありませんが、現在の状況をまとめると、こんな感じになるのかも知れません。

「お使いのラジオのFMの周波数部分を確認し、108MHzまでの表記かテレビ1ch~3chまでの表記がないラジオの場合、周波数を移行すると宣言している放送局を聞き続けたい場合には買い替えが必要になる可能性があります。しかし現状で売られているラジオの多くはこの部分をカバーしていませんし、はっきりと決まった事でもないため、具体的な放送局側からの動きによってメーカー側から新しいラジオが出るまではあせって高額なラジオを買うような事はしなくても大丈夫です」

 さらにこの問題で気になるのが、ラジオリスナーのかなりの人たちが据え置き型のラジオではなくカーラジオでAMを聞いているという事実です。車の中でミュージックプレーヤーをUSB経由で接続して音楽を楽しんでいる方も多いので、多くの人が一斉に車のラジオを付け換えるまで行かないのではと考えると、周波数の移行はリスナーの数を確実に減らし、むしろFMに移行したAM局の経営にも影響を及ぼすのではないかと考えられます。首都圏のラジオ局が一部FMに移行しても、こうした懸念から完全にAM放送から撤退する事は当分ないとは思いますが、この問題は引き続いて動向を見守っていきたいと思っています。


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