メディアにおける車中泊を考える

 このブログでついつい時事ネタを扱うことがあります。これは、毎日更新する身としてはネタが日々のニュースから取ることができることで嬉しい反面、後になって見直すと、既に世間からはすっかり忘れ去られたような題材だったりした場合、何の事を書いているのか客観的に見てわからないということにもなりかねないという危険性があります。というわけで、長くなって申し訳ありませんが元ネタの説明を多めに取りながら文章を進めていこうと思います。

 日本における新幹線のような高速鉄道を急激に整備したせいかどうかわかりませんが、中国において、停車している高速鉄道に後続車がまともに突っ込み、多くの死傷者を出したというニュースがこれを書いているちょっと前に起こりました。日本の新幹線の場合自動列車停止装置がしっかりしているので、まず同じような事故が起こる可能性は少ないですが、中国ではこうした列車運行上のシステムを自国開発したことにより何らかの問題が起こったことが予想されます。

 さらに驚いたことは、事故の大きさの割には死者数が少なく、さらに事故車両に乗っていた人たちについての情報も出さないため、行方不明の人がどのくらいいるのかにわかにはわからず、遺族には早く示談すれば高額の示談金を渡すということが先行して報道されたため、かなりの政府に対する反発が出たことが報道されました。普段は淡々とニュースを伝えるテレビ局の女性アナウンサーが涙声で訴えたり、遺族が大がかりな抗議行動を取っても公安部の人たちは直接抗議行動を妨害することもせず、テレビカメラの取材も割と自由にさせていました。地方紙でもかなりの政府批判の記事が出ているということが日本のテレビでは大きく報道され、名前は忘れましたが中国事情通なる人がこうした一連の騒動についてコメントをしていました。

 いわく、さすがの中国でも民衆の力が強くなったので、政府としても強制的に取り締まることは避けているのではないかというのです。私は中国の事情通ではもちろんありませんが(^^;)、あの天安門事件ですらその後、何事もなかったように鎮圧されたことを考えると、民衆の力が強くなったのではなく、単に中国政府がどうするか決めかねているとしか思えませんでした。そして、温家宝首相が事故現場を訪れた後は一気に状況が変わりました。賠償金の額はさらに上がり、抗議活動で先頭に立っていた遺族に圧力がかかったのではないかと思われるような報道がされました。さらに、遺族が政府にこれ以上たてつかないように弁護士に圧力をかけ、遺族の弁護をしないようにとする圧力も同時に掛けているという報道が出るに至っては、「民衆の力が強くなった」なんてよく言えるのかと思ってしまいました。

 こんな事を言った人はどの面を提げてテレビに出てくるのかと思ったのですが、このような発言をした御仁は当然テレビには再度登場しませんでした。今の中国政府のやり方には言いたいことは大いにありますが、私などは日本のテレビ局の報道姿勢のいい加減さに呆れると同時に、だからマスコミの報道を鵜呑みにすると危ないなと思ってしまったのでした。

 と、ここまでが長い前置きになるのですが(^^;)、ここから車中泊の話です。先週土曜日(2011年7月23日)の朝日新聞の別刷りに『「車中泊」人気じわり浸透』という題名の記者によるレポートがあります。普通の車で行なう車中泊と、キャンピングカーを使っての宿泊という2つの形態について紹介されています。

 ブームの背景として「団塊の世代」「道の駅」「ペット連れ」「ミニバンの流行」というキーワードで説明されていますが、非常用としても有益だとするキャンピングカーの周辺を多く記事にしていたり、車中泊3種の神器として紹介されている「ウィンドーシェード」「ポータブル電源」「ベッドマット」が記事内で出ているURLから購入すると結構な費用になることなどを考えると、ブームの検証記事ではなく単に車中泊にからめて商売をしたい人に誘導されて掲載された広告記事に近いものではないかと私には思えてしまいました。

 もちろん、今回紹介した記事を含め、記事中に出てくる車中泊のための雑誌や、宿泊スポットが掲載されたムック本などは身銭を切って情報を提供してくれるのではなく、商売として成り立たないと出せないものであるので、こうしたタイアップ自体が悪いことだとは私は思っていません。ただ、インターネットが使えない方が情報を入手したい場合はこうした紙媒体に頼るしかないので、さまざまな記事や紹介文の中からいかにご自身に有益な情報を取り出すことができるかが重要になります。限られた予算の中で快適な車中泊の環境を作りたいと思っている人が「車中泊3種の神器」を先に買ってしまったとしたら、それだけで予算オーバーになってしまう可能性もあります。タイアップせざるを得ない状況についてはわかりますが、記者の方にはお金がなくても工夫次第でそれなりに車中泊できる環境を作ることができるという実例を、もう少し紹介してくれればよかったのにと思いました。

 今後、テレビや新聞、雑誌などで車中泊についての話が出てくるのが目に付くこともあるかと思います。特にテレビではあのNHKでさえも企業とタイアップしたのではないかと思われるほど具体的な商品紹介をする情報番組も存在します。もちろん、多くの人に有益だと思われるので紹介するということはあるでしょう。かく言う私もテレビからの情報で手に入れて便利に使っている車中泊グッズは存在します。ただ、全てテレビや新聞・雑誌に出ているからいいものだと思うのは間違っているかも知れません。特定の用途に使うものとしては大変良いものでも、自分の車中泊のスタイルには全く合わないということもあり得ます。私のブログも含めて人の言うことを鵜呑みにしないことが大事です。どうか、自分なりのスタイルを情報を整理する中で構築してみてください。


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メディアにおける車中泊を考える」への2件のフィードバック

  1. ツタや 投稿作成者

    中国は、もしかすると日本より自由ですね、そのかわり売春と
    麻薬に関しては、厳しく取り締まるのは、昔から変わっていません。
    何度か中国に行ったので感じました、四川省の地震の際は、恐らく
    かなりの犠牲者がいたにも関わらず、土で埋めたでしょう。今回も
    同じ方式で早期解決を図ったのではないかと思います。
    景気低迷は、車中泊に拍車が掛ると思いませんか?

  2. てら 投稿作成者

    例えば、家族4人で日本旅館に泊まる旅を計画した場合、一番のネックはやはり宿泊代ですね。家族でも使えて一部屋単位での料金設定がされている宿は日本でも存在するもののあくまでも少数派ですし、となると、車中泊で宿代を浮かしてという風に考えるのが普通です。
    そういった人たちが、本文で紹介したような車中泊のための設備投資を盛大にしたり、キャンピングカーを購入するかというとそんなこともないでしょう。ただ、予備知識のない人はある程度お金を掛けないと車中泊ができないなんて言われるとそんなものかと思ってしまうかも知れませんので、ここを読んでいる方には注意していただきたいと思います。

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