ニッケル水素電池の高容量化について

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 昨日の新聞朝刊に、写真のような東芝の充電式インパルスの一面広告が出ていました。エネループとエボルタがシェアを握る中、東芝がどのような戦略で充電池を販売していくのかということが明らかになったような気がします。ただ、この広告には一つの落とし穴があると私は思います。

 先日大型家電量販店の電池売り場を見に行ったら、充電式エボルタとエネループの並んでいる棚の端の方に東芝の充電式インパルスが置かれていました。以前のエントリーで書いたように、9Vタイプの充電池と充電器が目立ちますが、やはり一般的に使われるのは単三のラインアップです。今回の広告を見てなるほどと思ったのですが、たまたま私の行ったお店だけの事かも知れませんが、店頭には単三の充電池は、新聞広告にあった高容量タイプの2400mAhのものしか置かれていませんでした。

 充電式インパルスの2400mAhは、エネループの中の「エネループプロ」と同じような特性を持っていまして、確かにスタンダードタイプの容量1900mAhからすると一度の充電で長く使える時間が増えます。新聞広告もこの点を強調していて、アルカリ電池と比べてもこれだけ長持ちしますよということを中心に新聞読者に訴えているように思います。エネループプロに書かれているレビューによると、豆電球の連続点灯実験ではスタンダードのエネループより長く点灯するアルカリ電池での結果を凌いだそうで、同じような特性を持つ東芝のインパルスでも、使い捨てのアルカリ電池の代替としてという点においては、はるかに経済的でエコであると広告が訴えるのもわからないではありません。

 先述の落とし穴というのは、広告の中には一切表記が無かったのですが、この高容量の電池の繰り返し充電回数は500回と極端に少ないということです(エネループプロでも同じ性能をうたっています)。最新のエネループの1900mAhタイプの繰り返し充電回数は1800回で、極端に違うのがわかるでしょう。同じ東芝1900mAhのタイプは1500回の繰り返し充電しかできないということで、同じ土俵で戦うには戦う前から負けてしまっている感じがするのは私だけではないでしょう。エネループ陣営が高容量であるエネループプロをそれほどプッシュしないのは、スタンダードタイプのエネループの性能に自信を持っていることに加え、トータル的に見ると高容量のエネループプロは、使われる場面が限られることがその原因としてあるのではないかと思われます。そんな中、あえて高容量のメリットをあれだけ大きな広告で訴えるなら、逆にディメリットについてどんなに小さな文字であっても、繰り返し充電回数が少ないという情報は入れるべきではないかと思いますね。

 もちろん、購入した電池を機能ぎりぎりの500回も続けて充電しながら使う人などよほどのマニアで無ければいない(^^;)という判断もあり、多くの方は高容量の充電式電池のメリットだけを知らせればいいのかも知れません。それでも、使い捨ての乾電池から充電可能なリサイクル電池に乗り換えるような人は、やはりできるだけ長く使いたいという思考の方が多いと思うのですが。

 ただ、ネット通販はわかりませんが、東芝の充電池の近所の家電量販店での実勢価格は、エネループプロよりも安く、2400も1900もそれほど変わりません。そういう意味ではエネループプロと比べて格安で高容量の充電池を入手しやすいとも言えるかも知れませんが、懐中電灯やランタン、カメラのフラッシュのように、できるだけ頻繁に交換せずに長く使い続けたい用途にはエネループプロを購入するよりも確かにおすすめできる場面もあるでしょう。とりあえず現状では高容量の電池の中では安さということでは優位にあるとは思いますが、今後の技術向上がなされれば、高容量のまま繰り返し充電回数がスタンダード並に長いものも出てくるかも知れません。少なくとも東芝はアルカリ電池の持続力を凌ぐ高容量を売りにしたいのなら、もう少し電池の耐久力を上げてほしいものです。


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