ダイハツ イースは車中泊に向くか?

 個人的には電気自動車やハイブリッドで使われる大型電池は、どの程度の耐久性があるかわからないということもあって、その種の車には全く食指が動かないのですが、ここのところマツダのデミオや、今回紹介するダイハツのイースのようなエンジン改良の他、車体軽量化やアイドリングストップ技術などを使い、飛躍的に燃費を伸ばした車がちらほら登場してきました。価格について最安の795,000円というのはキーレス抜きで営業車のような外観になるので、どちらにしても100~120万くらいのモデルが売れ線になるでしょう。

 元々ダイハツがタイプの車を出したのには、現状の軽自動車の中でもさらに燃費のいい車をというニーズがあるためでしょう。そんなわけで、軽自動車で遠方までロングドライブをしつつ、車中泊をする人のために作られた車ではないことは明白ですので(^^;)、車中泊に向くか向かないかといえば向かない車と言えるでしょう。

 車の中で快適に寝るためには車内が平らになるかというのが問題で、私はその観点を重視して今のワゴンRという車を選んだわけですが、果たしてイースの車内はどうなっているのでしょう。たまたま昨日ダイハツのディーラーの方にお会いし、カタログを見せてもらいましたので、カタログの写真を紹介します。

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 前の席をリクライニングにして、ヘッドレストを外せば何とか前後の座席がつながりそうな感じではありますが、どちらにしてもフルフラットにならない構造のようです。これならば、前席を一番後ろに下げてそのままリクライニングにしてもそう変わらないように思います。

 私も詳しく見たわけではありませんが、いわゆるスタンダードタイプの軽乗用車というカテゴリーの中で作られたものであるだけに、人が乗ることは考慮されていても、人が寝ることについては考慮はされていないでしょう。しかし、以前も少し書いたことがあるかも知れませんが、後ろに思い切りリクライニングできるだけでもいいと思う方もいるでしょう。

 条件的には、列車やバスの座席で寝るような状況に近いでしょう。最近は夜行列車という普通座席での夜間走るものはほとんどありませんが、先日のような災害時に新幹線の車内を列車ホテルとして開放することはあります。また、バスの座席で夜間移動する旅のスタイルというのは普通にあります。満車の状態で乗り合わせた場合は、座席を後ろいっぱいまで倒すことに躊躇する場面もあるでしょうし、他の方のおしゃべりやいびきでとても寝られないと嘆く状況もあるでしょう。しかし、自分の車の中の空間は車外の喧騒はどうしようもないものの、足のせやシートの段差を埋めるマットをきちんとそろえることで、高級な夜行バスのシート以上の寝心地を作り出すことは可能だと思います。

 実は私はワゴンRに乗る前に長くダイハツのミラに乗って、途中フェリーを間に入れながら車中泊の旅をしたことがあります。寝るにはシートをリクライニングさせただけの状態でしたが、体調を壊すことなく旅を楽しむことができました。休みを利用してかなりの頻度で車中泊の旅に出るにはこうした車はおすすめできないと思いますが、普段は街乗りが多く、年に数回ぐらいは出掛けたいと思われる方が車中泊に適した車を購入したとしても、そのポテンシャルを生かす機会はそう多いとは思えず、差額分を別のところに振り向けるほうがいいようにも思います。このような全く車中泊に適さないような車でも、一度試してみたら意外とよく眠れるというのなら、他車と比べてもダントツの燃費の良さというのが旅についても生きてくるということになるでしょう。

 どうしてもフラットな空間が欲しいという場合は、レンタカーで長旅の時だけワンボックス車を借りるという手もあります。電池の劣化に従ってどの程度低燃費性能が維持できるかわからない電気自動車やハイブリッドカーと違って、普通のエンジンで低燃費を実現するということで、日頃の足として長く乗ろうと思うならこうしたガソリンエンジン搭載の低燃費車を選択するのは悪くないと思います。ここを読まれる方はさまざまなインターネットの世界をさまよっていると思いますが、ネットでは三菱のパジェロミニやスズキのツインといったこれは車中泊に向かないだろうと思われる車を車中泊仕様に仕上げている方もおられます。私はそこまでやろうとは思わず簡単に車中泊仕様にできるワゴンRに流れてしまいましたが、まず車を決めてから車中泊仕様に仕上げていくというのも十分ありだと思います。低燃費車としての魅力にとりつかれてしまった方は、ぜひ車中泊用にいろいろ工夫されてみてはいかがでしょうか。

2013.3.6 追記

 ヘッドレストを外して前と後ろの座席を段差のあるフルフラットにできるSUZUKIのkeiにコットを使うことで快適な車中泊スペースを作ってみました。イースをはじめとする軽乗用車でも可能かもしれませんので、興味のある方はこちらのリンク先もご覧ください。

http://syachu.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-9a40.html


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ダイハツ イースは車中泊に向くか?」への4件のフィードバック

  1. ツタや 投稿作成者

    温泉に入れて、安心して睡眠が出来る場所と、燃費の良い車が有れば
    快適ですね。

  2. てら 投稿作成者

    今回紹介したダイハツのイースは、これから出てくるであろう従来技術を利用した低燃費車のトップバッターだろうと思います。メーカーも車中泊をしている人たちが多いという事はわかっていると思うので、早く快適に車中泊できそうな車が出てきてほしいですね。

  3. だから 投稿作成者

    イースが気になりレビューを待っていましたが、早かったですね。
    ありがとうございます。
    コメントは私自身が実際に触れてからと思っていましたが、やっと実車を見られました。
    車屋に行くと運転席にも座らずに、まず靴を脱いで横になる変な客ですが、今回も試してみました。
    ヘッドレストを外して助手席をリクライニングすると、なんと後席とフルフラットになりました。
    このシートアレンジがなぜカタログに記載されていないのだろう?と思いましたが、その結果は残念ながら「寝るには短い」です。
    身長173cmの私には長さが少し不足し、車中泊には使えませんでした。
    後席を前倒しにして助手席とつなげると、2mくらいのスペースができますが、もっと凹凸がひどく寝れません。
    よーく見ると、後席はミラと同じように左右が一体でリクライニング機能がありません。
    うまくすると背もたれだけを外せそうな構造です(荷室と背もたれの後のカーペットが一体ですが切リ離してしまうと、ですが)。
    そうすると、助手席と後席座面と荷室が比較的フラットな空間ができそうでした。
    外した背もたれ部分もうまくすればベッドに利用できるかもしれません。
    ん〜、でもワゴンRのように無改造で寝やすい車ではありません。
    それでも、30L/kmの低燃費の4WD設定があるのは、魅力的な車だと思いました。
    雪道にも安心できる低燃費車と言えます。
    てらさんが仰るようにイースは省燃費が最大の武器で、この技術が他車に流用されて車種選択ができるようになった時が買い時かな、と思います。
    また魅力的な車が登場したら、てらさんのレビューをお待ちしています。

  4. てら 投稿作成者

    だから さん 私よりも詳しく実車を検証してのコメントありがとうございました。
    イースのカタログを見て、後部座席が一体化しているという点と、どうも後部座席そのものもリクライニングを含めて動きそうもないということから、ちょっとフルフラットにするには厳しいかなと思っていましたがその通りだったようですね。
    ただ、記事の中でも触れさせていただいたように、あくまで無改造で車中泊ということにこだわると、助手席シートを後ろまで下げ、リクライニングした時にできる前方の空間にクッションやバランスボールのようなものを押し込むことで、何とか足を伸ばせて休めるだけの空間は確保できる可能性はあります。
    ダイハツはムーヴやタントあたりでもフルフラットになるシートアレンジは実現できていなかったのですが、今後はぜひスズキの軽に対抗するという意味でも軽ワゴン以外で車中泊しやすい車というのを出してほしいと思いますね。

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