エンジンブレーキの必要性

 エンジンブレーキと言うと思い出す、とある笑い話があります。ある方が自動車の免許を取るための教習中、教官から「エンジンブレーキをかけろ」と命令され(その当時は自動車学校の教官は横柄な態度で恐い人がたくさんいました)、エンジンブレーキが何の事かわからず頭の中でパニックを起こしてしまいました。そんな中でも何とかしてエンジンブレーキをかける動作をしなければならないと思ったその人は、教習車を見回しそれらしきものを探しました。で、これしかないと思って踏んだものは、助手席側にある教官用の補助ブレーキだったとの事(^^;)。まことしやかに語られる話ではありますが、それだけエンジンブレーキというもののイメージが湧かない人が多いという事の裏返しとも言えるかも知れません。

 エンジンブレーキとは、走行中にアクセルを戻したりギヤを下げたときに発生する、エンジンやトランスミッション自体の内部抵抗などによる減速のことで具体的なレバーがあるわけではありません(トヨタのBレンジを除く)。ただ、普段の運転の中ではほとんどエンジンブレーキについて気にする事もないでしょう。逆にエンジンブレーキを多用しすぎてブレーキを踏まないと、後方の車が減速するタイミングが遅れ、事故の危険性さえあります。オートマ車の場合も、走行のほとんどはDレンジで運転すればいいと思いますが、
状況によってはシフトダウンをして低速ギアのままエンジンブレーキを効かせて運転しなければならない場面も存在します。それが、急勾配の下りが長く続く道を走行するような場合です。

 昨日熱海市で起こったトラックによる人身事故では、静岡県の県道11号、いわゆる熱函道路をトラックが市街地まで下りてきたところで事故が起きたといいます。詳しい事故の原因については私がこれを書いている段階では報道されていませんでしたが、お店に突っ込まれたクリーニング店の店主によると、ブレーキの焼けた匂いがしたと言っていましたので、峠を越えてから急勾配の下り坂道が続く熱函道路を通っているうちにブレーキが過熱してブレーキが効かなくなった可能性は大きいと思います。私は熱函道路を何度も通った事がありますが、エンジンブレーキ併用という標識は多くあり、万が一ブレーキが過熱して効かなくなった時のための非常用退避場所もあり、いざという時にはそこに突っ込むようになっています。もし事故を起こしたトラックの運転手がエンジンブレーキを使わずに熱函道路を通ってきたとすれば、それがすなわち事故の原因だとの結論が出るかも知れません。

 旅行で出掛ける場所というのはどうしても風光明媚な場所が多くなり、そこへ着くまでの道が険しくなりがちです。特に長い下り坂が続く場合には、エンジンブレーキを使いながらブレーキを踏み込みすぎずにポンピングブレーキを掛けながら走行するなど、自分の車が自分でコントロールできなくなるような状態を避けるような運転の仕方が重要だと思います。特にエンジンブレーキ併用という標識がある所では、フットブレーキの踏み過ぎに注意して走行するように気を付けましょう。


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