エコカー補助金で消費は戻るか?

 消費税の増税の論議の中、自動車取得税や重量税をなくすような形での税制改正を要求する動きがあるようです。これは自動車に関する税金が消費税との二重課税になってしまっているという問題の他、今後自動車関係の税金を道路建設以外に使うことになると、自動車だけになぜ重税を押し付けるのか、その根拠が弱くなるという考えからだとのこと。自動車関連団体はこうした負担減により新車や中古車の価格が下がることで販売台数を上げたいという魂胆のようですが、そうした抜本的な税制改正より前に、エコカー補助金を復活させるといういかにも場当り的な政策が実現しそうだとのことです。

 確かにこれから、こうした補助金を利用して(補助金が出るまで待って)車を買い替える人は増えるでしょう。しかし、また補助金が底をつけば車は売れなくなり、その次の展開を考えなければ市場は先細るだけでしょう。昨日のニュースでは、エコポイント導入により空前の売り上げがあった大型テレビの売り上げが目も当てられない程激減したという報道もありました。このまま行けばまた来年の今頃になれば自動車会社は新たな補助金を求めるようになるだけかも知れません。

 元から言われている車の国内消費における問題は、今後車を運転できるようになった若年層が今までと同じように車を買ってくれるかどうかにかかっていると言えます。車を持っている私の率直な感想として、車を維持するためのお金を別のところに向けることができればどれだけ家計が楽になるかというのがあり、全く車を持たない生活に慣れ切ってしまっている人からすると車に乗らなくても十分生活できてしまうという考えもあるでしょう。加えてさまざまな税金を車を持っているだけで掛けられるということになると、ますます車は国内で売れなくなってしまうことが考えられます。

 ここで改めて私の日々の生活だけを考えてみると、移動するだけなら原付で十分ですし、荷物を運ぶようなことになったら今では中古車のレンタカーが安い値段で借りられます。雨が降っていたり多人数で移動する場合はタクシーを使えばいいですし、旅行の際は公共交通機関とレンタカーを組み合わせることでそれほど問題になることはないでしょう。こうした論理が主流になっていけば、間違いなく車の登録台数は減っていくことになります。

 しかし私がそれでも自分で車を持つのは、車というものがいつでも自分で決めた時に自由に使え、さらに気の向くままどこへでも行ける稀有な空間であるからなのです。ちょっとした気分転換にあてもなく走るなんてことは自分の車がなければできませんし、車中泊というのはまさにその流れにある中の究極の使い方とも言えます。私の希望としては普段乗りとして使いながら、レジャーに使う時には快適に体を休められるようなシートアレンジを工夫された車があればいいのにと思うのですが、今の流れというのは最初に書いた通り燃費が良いエコカーや電気自動車ばかりが優遇されるばかりです。今の段階では電気自動車で長距離を移動したとしても、どこでもチャージすることは不可能に近いですから、最も車中泊に向かない車だと言えるでしょう(^^;)。しかも電池が消耗して交換ということになればかなり費用がかかることが予想されますし、そうした費用がかかることがわかっている車をあえて一般向けに今売る必要があるのかとすら私には思えるのです。

 東京モーターショーで出てきたコンセプトカーの数々も、スマートフォンのような感じの装置を付けるなど、本気で売る気があるのかわからない、何よりも若年層がこぞって欲しいと思うようなインパクトのある車というのはなかったように思います。大切な税金を使って消費を喚起するよりも、今のライフスタイルを変える可能性のある車を開発していただいた方が、補助金などなくても多くの人が手に入れようとするのではないかと思うのです。高いお金を出してマットや結露防止のためのカーテンを買わなくても標準装備になっていて、アイドリングをしなくてもいい空調システムがメーカーオプションで安く付けられる遊びにも使える乗用車が出てくれば結構売れると思うのですけどね。


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