これは本命か! OCN モバイル エントリー d LTE 980 の仕様について

 Amazonのショッピングサイトに出現した、NTTコミュニケーションズが販売する初期費用3,150円、通信料月980円のLTE通信ができるSIMカード、「OCN モバイル エントリー d LTE 980」が大きな話題となっています。私がこれを書いている2013年4月13日現在、標準SIMは月末の出荷が可能になっていますが、多くの方が使われるだろうマイクロSIMタイプは入荷未定となっています。それだけ注目され、多くの注文が入っているからなのでしょう。

 それもそのはずで、LTEのハイスピードが1日30MBまでの限定ながら(30MBを超えた場合はスピードが100kbpsに制限されます)使えるというふれこみなので、単純に一か月30日としても一月で900MBもの高速通信ができてしまうわけで、これまでの他業者が月1GBで安いところでも1,980円でやっていたことを考えるとおよそ半額で使えてしまうわけです。もちろん、1日ごとに高速通信できる量が決まっているので映画や大量のファイルをダウンロードするには向きませんし、1日ごとのデータ量は翌日に繰越することはできませんので、毎日使わないとメリットが出てきません。しかし、スマートフォンやタブレット端末をデータ通信を抑え気味に使う分には全く問題なく高速通信を楽しめるでしょう。

 とりあえず製品についての説明からわかっていることは、これを書いている現状ではLTE通信専用になっているので、3Gのルータやスマートフォンにカードを挿入して使えないということがあります。もっとも、NTTコミュニケーションズもこういったユーザーからの声を受けて、3G端末で使えるように仕様変更を近いうちにするというアナウンスをしているため、もしこのSIMがIDEOSのようなテザリング可能なSIMフリーのスマートフォンで使えるようになれば、多くの端末で使えるようになるため、なかなか魅力的に映ります。

 ここで、こうした内容を冷静に分析すると、やはりポイントはどういった使い方をするかということに尽きると思います。音楽や動画をダウンロードするような使い方は論外として、IP電話やネットラジオなど常時データをやり取りする使い方でも1日30MBの容量はすぐに使い切ってしまうでしょうが、ネット閲覧やメール送受信に加えて、ちょっとしたアプリのアップデートくらいに使っているなら、何とか一日30MBくらいで収まるかも知れません。ある程度自分で使うデータ量を抑えながら使おうと努力できるなら、こちらのプランが最強かも知れません。

 その上であえて現状での問題を挙げてみると、提供されるSIMが標準とマイクロしかなくnanoの設定がないという点と、良くも悪くも1日30MBを超えると速度規制が入るので、旅行の際など1日に30MB以上高速で接続したいと思っている人にとっては追加クーポンで高速通信が使えたりするサービスの方が使い勝手がいいということもあるでしょう。また、他社が現状のサービスを続けるのかそれとも対抗措置を出してくるのかという見極めも購入のタイミング的に重要になります。

 個人的にはこうしたサービスを渡り歩き、すぐに乗り換えれば乗り換えるほど初期手数料の分だけ余分にお金を払うことにもなりますし、プロバイダが宣伝するスピードに踊らされず、ユーザーによって明らかになるであろう実質の速度(非規制時・規制時それぞれ)をまずは確認してから乗り換えを考えればいいのではないでしょうか。

 これから初めて購入したいと思われる方は、まずはSIMカードが潤沢に在庫として存在するまで待てないなら他社に行かざるを得ないでしょうが、多少待てるというなら安定してSIMカードが供給されるまで待ってから購入を検討されるといいでしょう。その際、毎日少ない量の通信をするならこれでいいでしょうが、旅行などの時だけそれなりにまとめて高速通信したいと思われるなら、月200MBまで高速通信が使える楽天ブロードバンドLTEや、毎月の費用や追加クーポンの価格が安く、スマートフォン上のアプリでクーポン適用のON OFFが自在にできるDTIの490円SIMという選択もいいかも知れません。高速通信よりも常時100kbpsを割る事のない安定した回線の方がいいというならば、IIJmioという選択も十分にあり得ます。

 ただ、ここでもう一つ気になることがあります。サービス開始を伝えるニュースの中で、こんな一文を見付けました。

「1枚のSIMカードで通信速度や通信容量を選択・変更できるサービスの提供も検討中」
(ケータイwatch 2013.4.8分のニュースより)

 つまり、普段は低速通信で使っておいて、必要な時に高速で使えるデータ通信を確保するような使い方がきめ細やかにできるサービスがこれから出てくる可能性も今後あるということです。こうしたサービスは現状のサービスを使っている人にそのまま受け継がれるのかも知れませんが、契約内容の変更ができず、改めての新規購入が必要になる場合もあるわけで、やはりあせって契約するにはまだちょっと時期が早いのではないかと私自身は思います。

 ともあれ、NTTの関連会社であるNTTコミュニケーションズがサービスを開始したという意味は軽くはなく、同業他社の動向も含め、改めて自分の利用形態に合ったサービスを提供してくれるところをじっくりと判断していきたいと思っています。


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