「餃子の町」は家計調査の統計では決められない

 今では日本全国の方の知るところとなった栃木県宇都宮市と静岡県浜松市の餃子日本一に関する争いですが、先日宇都宮の方ではあえて日本一奪還運動をしないことを明言されたことでも話題になりました。個人的にはその意見に大いに賛成で、目の前の数字に踊らされてしなくてもいい争いはやめた方がいいと思っています(^^;)。というか、日本一とされる基準自体がおかしいと常々思っているので、今回はその事について書かせていただこうと思います。

 餃子の日本一といっても、何を争っているかと言うと、総務省統計局が実施している家計調査の中の餃子の項目ということです。具体的にどんな消費がカウントされるかというと、最新の統計で全国一となった静岡県のサイトに以下のような説明がありますので、そこからまずは引用しましょう。

(引用ここから)
この支出額はスーパーなどで購入した餃子(生、調理済)の金額で、冷凍食品や外食の餃子は含まれていません
(引用ここまで)

 外食における金額が含まれないということがまずは重要です。これから書くことは、浜松市が餃子の街として名乗りを挙げるはるか前に私が体験した話です。宇都宮を訪れた際に宇都宮名物餃子のお店に、市内在住の友人に連れられて散々はしごをしたのですが、びっくりしたのはいわゆる「餃子専門店」というものがかなり昔からあることと、その金額の安さでした。具体的な金額については後で触れますが、餃子専門店の中にはごはんすら出さないというこだわりの餃子専門のお店まであり、中華料理店のメニューとしての餃子しか知らなかった私としては、そこまで餃子が浸透しているのかとちょっとしたカルチャーショックを感じました。その際に聞いたのが、宇都宮の人たちは、餃子を食べるのに家ではそれほど食べず、お店に食べに行くのが基本だということでした(この話は、当時友人から聞いた話なので現在は違うかも知れません)。今もその構図が変わっていないということになると、主に持ち帰り餃子販売のお店が発展してきた浜松周辺の状況と比べること自体がおかしいと思えるでしょう。

 もうひとつ指摘させていただきたいことは、指標となる数字の単位は、いくら使ったかという金額で比べられていることです。家庭内で餃子にいくら使うかということはもちろん消費の指標になりますが、私はすでに宇都宮の餃子の安さを知っているので、この点でも宇都宮は浜松と比べて不利になるのですね。

 インターネットで浜松餃子の老舗と言われている「石松餃子」のページを開いてみると、ネット通販の20粒×3袋(60粒入)が3,240円になっていますが、同じく宇都宮の老舗、みんみんの餃子は30個入りが税別1,100円なので、60個の税込みでは2,376円になると思います。餃子自体の大きさもあると思いますが、お店で食べる場合も一人前6個で240円という金額なので、ほぼ同じ量を宇都宮・浜松両市民が消費したとしても、同じ金額が出てくるわけではないということはここまで読まれた方には理解していただけるのではないでしょうか。

 私自身が静岡市にいるので浜松市を悪く言うという風に捉えられるかも知れませんが(^^;)決してそんなつもりはなく、こうした争いに巻き込まれるような形で、消費を煽られることはあまり良くないことなのではないかと思ったので書かせていただきました。そして、静岡県で餃子を消費している身から言わせていただければ、静岡県内の餃子が宇都宮と競うなら、宇都宮餃子並みに浜松餃子の値段を下げることで主張して欲しいと切に思います(^^)。


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